第7話 未練はないの? 【遺品整理】
(※) 調査報告 レポートNo.011 (※)
ハズレスキル候補 【遺品整理】
『前世の、自分のパソコン内のデータを消すスキル』
……との事でしたが、『ハズレスキル開発部』の蟹巻様の力により、覚醒状態で試してみたところ、
『前世の、自分のパソコン内のデータを消すスキル。それに伴い、前世で自分が気になっている所を確認して、整理するスキル』
……などという、前世の心残りを解消するスキルへと変化しました
これにより、「あとまでも気になって、心配・残念に感ずること」という意味での「心残り」から、前世からの知識を流用しての知識無双が出来る可能性があります
一度、試しに『ハズレスキル開発部』の鹿野末様に使って見た際、彼が前世でいかにして死んだかを思い出しそうになったため、今回は夢の中の記憶として処理いたしました
そうすることによって、知識をしっかりと覚えさせないという対処をしましたため、心残りを解消するために閲覧の際は、夢として見せるなど、記憶を覚えさせない工夫をすべきだと提案いたします
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
----『スキル開発部』。
そこは、異世界転生者に渡すスキル。
その素を考える部署である。
簡単に言えば、神様の代わりに、スキルの原案を考える部署。
神様はそこで出来が良いと判断したスキルを
そこに配属され、自他共に認めるエースである蟹巻は、怒りのまま天使に詰め寄っていた。
「あぁん!? この天才の俺様のスキルが不採用で、あんな出来損ないの奴が作ったスキルが採用ってのは、どういう了見だよ、あぁん?!」
「通達通りの意味です、蟹巻様」
と、その天使は、そう答えた。
フォーマルな黒いスーツ姿に、キリッとしたクール系の、背中に天使の翼を生やす美人天使。
神からの信頼も厚い、その天使は、冷酷に答える。
「蟹巻様のスキルは確かに有用であり、神様には思いつかないアイデアが詰まった、素晴らしいスキルでございます。しかしながら、昨今の蟹巻様の案を基にしたスキルは、転生者様達からの乱用による異世界破壊の件数が多いため、今回は別の方のスキルを基に致しました、との事です」
「知んねぇよ、俺様たちの仕事は神様が気に入るアイデアを出す事であって、転移者がそれをバカみたいな使い方がぜってぇ出来ねぇようにするのが仕事じゃねぇ。それは別の部署の仕事だろ、あぁん?!」
蟹巻は、許せなかった。
自分のアイデアが素になったスキルで、異世界転生者達が暴れている?
だから、自分以外の、あんなクズ野郎のアイデアが、採用される?
「俺様のアイデアが、アイツよりも劣っているなら、1000万歩譲って許してやるよ。だがよぉ、俺様のアイデアが"素になった"スキルが悪いから、なんて理由で、俺様のアイデアが採用されねぇのは違うだろうがよぉ?
俺様たちは、神様達がわざわざ頼んでるから、こうやって作ってあげてるだけなんだけどよぉ」
「----取り消してください、蟹巻様」
静かに、クール系天使はそう彼に懇願した。
いや、
「私達は神様に仕える、従順なる僕。多少の暴言は許されるでしょうが、それ以上の暴言は神の使いたるこの、いか----」
「うっせぇよ、天使が」
----ザクッ!
クール系天使の胸元に向けて、蟹巻はナイフを突き立てていた。
「俺様の才能を認めねぇ、お前らが悪いんだ。
俺様の最凶のスキルを、その身で確かめさせてやんよ。
----スキル【呪怨】」
そして、蟹巻、蟹巻のナイフを胸に受けた天使を、黒い靄が覆っていく。
「神様、神様、神様ってよぉ。お前、うっせぇんだよ。てか、死ね」
スキル【呪怨】----所有者の怨念を、相手に呪いのダメージとして与える呪殺のスキル。
そのスキルにより、クール系天使は呪いを受けて、死んだ。
一方で、蟹巻もまた死んだ。
どうやら、呪いの威力が強すぎて、自身にも副作用があり、自身も受けた黒い靄の影響で、彼は死ぬ。
呪殺によって死んだ天使は、そのまま天界から落ちて行く。
落ちて行って……そして、下界で普通に暮らしていた、とある1人の少年の命を奪う事になったのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
以上、事件詳細について
蟹巻様は、
鹿野末様は、殺された
そして殺された
なお、上記2名もまた、
鯉池「つまり、『ントゥスを食べてこっくり死んじゃってなぁ』という私の死因がヤバいってことがバレちゃいますなぁ」
どうやっても化けそうにないハズレスキル研究会 帝国城摂政 @Teikoku_Jou
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