第13話 死にそうになれば勃つ

気持ち悪い回かもしれません、ご了承ください。


───────────────────────


 勃たない……。

 あれ?


 ベッドで星奈さんとキスをした、服を脱がした、身体中を舐めた。

 後は挿れるだけだ。

 なのに、その挿れるという行為ができない。


「早くしてください、ショータロー♡。いつまでも裸というものは少し恥ずかしいので……」

「う、うん……」


 なんでだろうか。

 普通は勃つものじゃないのか?


「……私のこと好きじゃないんですか?」


 勃ってくれ。

 お願いだから……。

 これ以上星奈さんを傷つけたくないんだ。

 傷ついた星奈さんを見たくないんだ。

 お願いだから……。


「──っ!?」


 次の瞬間、星奈さんは両手で俺の首元を絞めつけた。


 苦しい……。


「こうすれば、人間は勃ちますよ……」


 星奈さんが言う通り、下腹部が興奮してきた。


「人間って不思議ですよね……死を感じた時が一番興奮するんですもん……」


 どんどんと力が強くなっていく。

 それに応じて下腹部も興奮していく。


 死ぬ……。


 星奈さんは俺の首元から手を離した。


 咳き込んだ。


「はあはあ……」

「ショータローは私が好きじゃないんですね……」

「いや……」


 星奈さんは涙を流しながら、叫んだ。


「嘘ですよね! 私のことが好きじゃないから勃たないんですよね! なんでですか……ショータローは私の運命の人じゃないんですか? 犯してくれるんじゃないんですか……? ショータロー!」


 それ以上のことを言う前に俺は星奈さんに挿れた。


 気持ちよくなかった。

 ただただ不快だった。

 なぜだろうか……。

 星奈さんが「痛い痛い」と泣き叫ぶ中、俺はひたすら腰を振った。

 気持ちよくないのに下腹部はずっと興奮していた。

 ああ、俺はいったい何をしているのだろうか。

 これの何が気持ちいいのだろうか。


「痛い……痛いよお」


 なんでだろうか、気持ちよくない。


「一旦止まってショータロー」


 なのに星奈さんがそう泣き叫ぶ様子を見ると興奮してしまう。

 気づけば俺はただただ自分の欲望のままに腰を振るマシーンと化していた。


 ──俺はいったい何をしてるのだろうか。


「痛いよお……」


 俺は星奈さんの両手で首を締め付けた。

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────。


 気づけば咳き込みながら幸せそうな顔をしている星奈さんが汗だくで倒れていた。


「私、幸せです……♡。ショータロー、私のこと好きですか?」

「……………うん……」


 俺は星奈さんが好きなのかわからなかった。


 こうして俺は童貞を捨てた。



 星奈さんが去った後に気分が悪く外に出た。


 ──俺は星奈さんのことが好きなのか?


 外は雨が降っていた。

 傘を取りに行くのがめんどくさかったから俺は雨の中、傘を刺さずに下を向きながら歩き出した。


「星奈さん、幸せそうな顔してたなあ……」


 ── 俺は星奈さんのことが好きなのか?


「ああ、よかった……」


── 俺は星奈さんのことが好きなのか?


「本当に良かったなあ〜」


── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?

── 俺は星奈さんのことが好きなのか?


 俺は走り出した、そして喉がはち切れるそうなほどの声で叫んだ。


「わかんねーよおおお──ッ!!!!!!」


 と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る