第5話 金縛りという名の拘束
ピピピピ……。
スマホのアラームが鳴る。
ん……?
動かない……金縛りというやつか?
いやいや、そういうのは信じない主義である。
目を開ける。
「ショータロー、起きましたね」
星奈さんの声がする。
そうだった、俺は昨日、星奈さんを助けて……ハッ!
目の前に景色が広がった。
下半身にぷにっとした感触がする。
「おはようございます」
俺の下半身の上に跨る、ワイシャツに下は黒色のパンツ姿の星奈さん。
「朝から、元気ですね……」
「ちょ、ちょ……いや、これは生理現象でして……」
ふん! と両手を思いっきり引っ張った。
ガシン!
と、いう金属音がする。
身体中から冷や汗が溢れ出す。
え、ちょっと……待ってくれ、これって。
左右の腕を見ると、両手首が手錠でベッドの端と端に固定されていた。
足はと思い、足もやってみる。
結果は同じだ。
星奈さんは自身の下唇を触りながら。
「無駄ですよ……♡」
「よくまあ、こんな道具あったな!」
「ショータローのためになら、なんでもしますので……」
目がハートマークに見えるのは気のせいだろうか。
いいや、そんなはずない。
虚な目からハートマークの目へと星奈さんの目は変わっていた。
夜に一体何があったんだよ……。
ハアハア、と息が荒くなっていく星奈さん。
「ショータロー……私、昨日一人になってから考えたんです……この胸のモヤモヤはなんだろうって……」
あれ、なんか下半身が濡れてきてるぞ……。
こここ、これは……!
「わかっちゃったんです! 私の王子様はショータローだって……お布団びしょびしょにしてしまい、すみません」
「おい、なんの告白!?」
まずいことになった。
この流れって、昨日の感じから行くと……。
わかるぞ、俺にはわかる。
俺に顔を近づける星奈さん。
ボワっと、甘い香りがする。
「だから、ショータロー……私と子作りをしませんか?」
「いきなり飛んだ! そうだと思ったけど!」
ドキドキと心臓がうるさい。
「ふふっ、ごめんなさい……♡」
それにしても、エロい。
いや、そんな言葉でおさえてはいけないほどにエロい。
俺の両頬を温かい両手で触る星奈さん。
「私とショータローは運命なんです、だって、この世界は二次元ではないんです……普通、あんなタイミングよく人が現れることありますか?」
いや、あれは、事情が違う!
「……ないですよね、運命ですよ」
両頬から手を離し、俺に抱きつく星奈さん。
ぷにっと、胸元に柔らかい感触が……。
「つけていません、いつでもできるように」
で、ですよねー。
早くこの場から逃げたい。
このまま行くと本当にそうなってしまうかもしれない。
「無理ですよ、さあ、大人しく私と子作りを……運命の人と子作りをするのは何にも恥ずかしいことじゃありませんから♡」
いや、そうなんですけど、別に運命の人じゃ……俺はただの卑怯者だ!
「昨日はその妄想だけで何十回もいたしました」
なるほど、布団がびしょびしょって……。
ボワボワと顔が真っ赤に染まる。
「ショータロー、さあ、私と……」
まずい、このままじゃ……本当にすることになる!
それだけはダメだ!
「ごめん、星奈さん! 俺、今日は学校休む!」
首を挙げて、うなじを思いっきりベッドの突起にぶつけた。
目の前が真っ暗になった。
○
白目で倒れているショータローを見る。
……。
私は頬を膨らまして。
「意地悪ショータロー!」
愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。
私は下腹部に手をやった。
「私ももう、今日は休むとします」
そして、ショータローに抱きついた。
好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。好き。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます