第12.5話
殴りつけられた衝撃でドラゴンは大きく後退りする。
腹には大きな窪みができており、そこから血がとめどなく流れ出ている。
その傷を与えた本人の姿はどこにもなく、その代わりに石でできた人形が彼がいた場所の近くに倒れている。
その人形はほんの少しも動く様子はない。
匂いか何かが残っているのか、ドラゴンはその人形に対してできる限りの攻撃をしている。
攻撃と言っても、腕や足での物理的な攻撃だけで、ブレスは吐いていない。
そして少ししたのちに、ドラゴンは立ち上がり、こちらの方を見てブレスを吐こうと動きをとったが、ドラゴンの腹の少し上あたりが爆発してドラゴンが倒れる。
どうやら、さっきの一撃がブレスを吐くのに使う器官にダメージを与えたのだろう。
生き残っていた冒険者たちはその間にそれぞれが持っていた魔法の蓄音機を起動する。
『目の前の敵を倒せ』
蓄音機からはドラゴンに一撃を与えた彼と同じ声でそう響いてくる。
生き残っている冒険者全員が起動した蓄音機は何度も何度も繰り返され、その場に音の渦を作り上げた。
その渦の中心にはあの人形があり、その人形がその音を吸い込んでいるようにも見える。
蓄音機は自らの役目を終えて壊れていき、音の渦が消えるとその人形は少しづつうごきだした。うごきだした。
動き出してすぐは機械に操られた人形のようにぎこちなく動いていたが、次第にスムーズな動きとなり、ドラゴンの方に走り出した。
ドラゴンは未だ立ち上がっておらず、頭も地面についている。
人形は大きく飛び上がり、走っていた時の速度を維持したしたままドラゴンの右目に強烈な一撃を加えた。
そこから、人形はドラゴンを攻め続け、ドラゴンは守りに徹していたが、1週間後にはドラゴンは息絶えた。
ドラゴンが息絶えて一時間が立った頃に、人形も動きを止めてその場に倒れた。
人形は元のマネキンのような見た目ではなく、人形になる前の彼の姿を模したものになっていた。
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