第11話

 ダンジョンが崩壊して半年と少しが経った。


 半年が経った頃には周辺の人々は全員が避難を完了させていたが、あくまで最短で半年であったので半年が経ったとしても決戦まではまだ少し時間の余裕があった。


 この半年の間にこの決戦の場にいる冒険者たちは何度も訓練や攻略を行い、半年前とは比べ用がないほどに強くなった。


 強くなったのは戦闘担当の冒険者だけではない。


 装備やアイテムなどの作り手たちもとても良質なものを作れるようになり、弱体化要因の冒険者たちも、ダンジョンの弱めのボスであれば完全に動きを止めることができるようになった。



 各々が万全の準備を行い、半年が経ってから1週間が経った日に、遂にドラゴンが動き出した。


 まずは事前に計画していたように、ドラゴンの後ろに作られていた高い塔や、ドラゴンの上を飛んでいたヘリなどから冒険者が飛び降り、ドラゴンの翼を傷つけて飛べなくする。


 そして、ドラゴンの注意が後ろに行っている隙に、工作部隊がドラゴンの鱗を剥がして肉が見えるようにしていく。


 ドラゴンの鱗はとても硬く、さらには魔法などの効果を減衰させる効果があるため、攻撃が通りやすくするためには鱗をはhがす必要があるのだ。


 そして、ある程度鱗を剥がすことができたらデバフ部隊がドラゴンに様々な弱体化をかけていく。


 毒や麻痺、攻撃力・防御力・素早さの低下、さらには、混乱や眩暈、泥酔など様々だ。


 そうやってデバフをかけていく間、ドラゴンの注意がデバフ部隊に行かないように盾部隊と遊撃部隊がドラゴンの注意を引いていく。


 遊撃部隊が攻撃を与え、ドラゴンが彼らに攻撃をしようとすると、定間隔で並んだ盾部隊のうち、近い数人が彼らを守る。


 その間に他のところから攻撃を行い、そちらにドラゴンの注意を引いておく。


 そして、遊撃部隊の冒険者たちが頑張っている間に、主力部隊はただひたすらに強化──バフを重ねていく。


 持続時間の長いものから順番にかけていき、一撃必殺の気持ちで魔法やスキルを用意していく。


 準備ができると合図がいき、それぞれの担当のところにいき、狙いの場所を順番に断っていく。


 まずは尾、そして脚と腕の各関節、そして最後に首を断つのが計画だ。


 尾は断った。


 片腕も断った。


 しかしそこで計画は崩れた。


 

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