第8話

 秋になった。


 結局、夏休みはほとんどダンジョン巡りで消えてしまった。


 巡ったダンジョンは150個を越え、僕は新たな世界1位と呼ばれるようになった。


 身体能力だけでも世界1位として不足がない強さではあるが、使うことができるスキルの数と種類も世界1位にふさわしいものとなっている。


 新たに手に入れたスキルは、自身の体を強化するものや魔法の道具を作ることができるスキル、魔法を使うことができるようになるスキルなど様々だ。


 中でも、魔法の道具を作ることができるスキルはとても便利だ。


 魔法と一部のスキルを使うには前口上のようなものを言う必要があるが、小型の蓄音機のような魔法の道具に事前にその前口上をスキルや魔法を使うように言ったもの録音しておくと、それを流すだけで勝手に使うことができるのだ。


 また、その蓄音機を使って、こめられたスキルや魔法は使用者ではなく込めた人の能力に依存するため、うまく使えば自分よりも強い魔法をリスクなしで使うこともできるのだ。


 また、普段はキーホルダーサイズに小さくできて、必要な時は大きくなるシャワールームとか自転車とかもある。


 何度これらの魔法の道具に感謝し、感謝されたのか数えきれない。


 そして、前から持っていたスキルも強化することができた。


 人形使のスキルでも、夏に入る前まではいちいち自分で人形に指示をしなければいけなかったが、強化されたことで最初に指示すれば勝手に動いてくれるようになった。


 これにより、普段の訓練がさらに有意義になった。


 また、体の石への置き換わりも進み、スキルの説明も変化してきた。


 右腕と左足が完全に石に置き換わり、全体的に人間の体をベースにところどころに外骨格のような装甲などがついている。


 右足と左腕も先の方が石に置き換わってきた。


 怪我をしようがしてまいが体の先の方から置き換わって来るようだ。



 変化したスキルの説明には、

「体は石へと置き換わり、傷がつかないものとなる。

 喜ぶがいい。

 君はいつか、不老不死を得ることができるかもしれないのだから。」

 と書かれていた。


 しかし、スキルの名前は未だ文字化けしていた。

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