第3話
秋から冬に季節が変わる頃に僕は大きな怪我をした。
左足首から先がなくなったのだ。
少し注意が散漫になり、地面の中のモンスターに気が付かなかったがために、そのモンスターに足が喰われたのだ。
すぐにそのモンスターと周りのモンスターを殲滅して、他の化物を倒したことで手に入れた回復薬──ポーションを使ったが、足は元通りにならなかった。
足は元通りにならなかったが、その代わりに黒い石のようなものでできた足が生まれた。
ダンジョンができた時期に手が生まれたのと同じように。
足首がなくなって隙間ができているはずなのに、普段と同じように歩くことができる。
僕の右手のように、体の一部が黒い石でできたものに置き換わった人が体の一部分がなくなるほどの大怪我を負った時には、なくなった部分も同じように黒い石でできたものに置き換わることは知っていたが、こんなにも違和感を感じないとは思わなかった。
足を失った時から数日が経った頃、あるニュースが世界を揺るがした。
少し前に話した世界1位の人があるダンジョンを攻略したというニュースだ。
そのニュースによると、あるダンジョンの一番奥にいるモンスターを倒すと頭の中にクラッカーの音が聞こえ、自分の現在の能力値と持っている技能──スキルを見ることができるようになったらしい。
また、ダンジョンを攻略してもそのダンジョンは崩落することはなく、今まで通りにモンスターが出現しているそうだ。
ダンジョンを攻略した報酬がそのようなものであったため、ダンジョン攻略に力を注ぐ人が増えたのは言うまでもない。
そしてその人たちの中には僕も含まれているのだ。
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