第2話

 秋になった。


 右手を維持するために定期的にダンジョンでモンスターを倒していき、順調に強くなっていった。


 どれくらい強くなったかというと、身体能力だけを見ると、新体力テストで40点後半ぐらいだったのがほぼ満点になったほどだ。


 頭も良くなった。


 入学して最初のテストは平均点くらいだったが、今では全教科で校内順位が1桁だ。


 ダンジョン関係の友人もかなり増えた。


 同じぐらいの歳の人もいるが、多くの人が年上で、中には二回りも年が違う人もいる。


 そして、何回もダンジョンに挑むうちに、もっと強くなりたい、もっと攻略したいと考えるようになった。


 そして、何度もダンジョンに挑むうちに右手と右手首から肘ぐらいまでのところが変化した。


 右手はもともと、マネキンのような形だったが、今の見た目は色の違いこそあれ、ほとんど人の手のように見える。


 人の手と違うところは、手の甲と指と指の関節の間に昆虫の外骨格のように装甲がついているところだ。


 そして、右の手首から肘までがマネキンみたいな見た目になり、肘がなくなって手首と同じように隙間ができている。


 このまま、体が変化するのが続いていくとどうなるかはわからないが、強くなれるからそのままにしておこうと思う。



 話は変わるが、少し前に世界最強の冒険者と言われている人と、偶然話すことができた。


 どのようなことを考えて冒険者として活動しているのか、どうやったら強くなれるのかなどを聞いてみた。


 その人は、「自分の限界、自分の到達点に至ってみたい」から冒険者をしていて、「日々の鍛錬」と「何回もモンスターと戦って勝つこと」が強くなる方法だと言った。


 やはり、この世界にはそう簡単に強くなる方法はないようだ。

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