宝探し

ミンイチ

第1話

 僕は今、とても暗い空間で探し物をしている。


 この空間は過去の英雄や悪魔、神などといった現在では神話や御伽話のようなものでしか知られていない存在が残していったものを保管している倉庫のようなところだ。


 この倉庫は地球の内側に存在しており、世間では地球空洞説であると考えられている空間のようなところにある。


 この倉庫はギルガメッシュ叙事詩に出ている宝物庫を改造して作られているという噂もあるが、定かではない。


 そしてこの倉庫はとても大きな空間を有し、あまりにも広いので全ての宝物を管理し切るのは不可能に近く、とても暑いホコリの層に包まれた宝物さえある。


 そんな中、僕は上司からある宝物を見つけてこいと言われた。


 一応、どのあたりにあるかは記録が残っていたが、細かい場所の記録までは残っていなかった。


 宝物を探すにしても、細心の注意が必要だ。


 宝物によっては触っただけでその触った人に何かしら影響があるものもあるからだ。


 しかも、その影響がいいものだけとは限らないので、できる限り触らない、触るとしても安全だと確認が取れているものだけを触るようにしている。


 そんなふうに探しているうちにおおよそ半年が経った。


 ここで働いている職員には一瞬で本部と今いる場所とを移動する宝物が貸与されているため、毎日家に帰って休むことはできた。


 その半年の間には探し物をすることができない日もあった。


 職員の1人が、悪魔化する宝物に触ってしまったり、飼育していたキメラが脱走したり、新しい宝物が回収されたりと、全職員が集められる機会が多かった。


 それでも、やっと目的の宝物を見つけて回収することができた。


 回収したものを指定の場所に運び、上司に報告し終わると、少しの休暇と次の仕事の詳細が書かれた書類が与えられた。


 次の仕事は『ネッシーの捕獲』だそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宝探し ミンイチ @DoTK

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る