第13話 いざテイム
「ルリカ、明日用事あるか?」
「明日ですか?いや、特に何も無いですけど」
するとガルシアさんは、安堵したような表情を浮かべて言った。
「そうか、それなら明日、マリアお嬢様の警護に当たってくれないか?」
「マリアのですか?何かマリアにご予定が?」
「ああ、どうやら明日お嬢様が初めてのテイムをなさるそうでな。そのために警護を付ける必要があるのだが、彼女がルリカに付いてもらうの一点張りだそうでな・・・」
初めてテイムか・・・それはきっととても大切なことなのだろう。
「分かりました、明日ですよね。私で良ければ引き受けますよ」
・・・・・・
「おはようルリカ!」
「おはようマリア、今日は上機嫌だね」
するとマリアは、鼻をフンスと鳴らして言った。
「当たり前ですわ!だって今日はワタクシが初めてテイムする日ですわよ?楽しみで夜も眠れませんでしたわ!」
「そっか、マリアは学校でテイムの勉強をしたの?」
「いえ、全てワタクシの独学ですわ。ですのでテイムをしてもよろしかったのですが・・・お父様の許可が中々おりませんでしたの」
そう言うとマリアは急に顔を上げて言った。
「ですが!とうとう根気勝ちをしましたの!やはり最後は気持ちが強い方が勝利するんですわよ!」
やっぱり今日はテンション高いな・・・
「それで、マリアは何をタイムするの?」
「それは、スライムをと考えていますわ」
「へぇ、それは何で?」
私がそう尋ねると、マリアが顔を赤くして言った。
「そ、それは・・・ルリカとお揃いしたいというのと、スイのお友達になってくれると思いましたので・・・」
確かに、スイは今でこそ人でいるのが普通だけど、元はスライムだ。きっと同じ種族の仲間がいた方が良いに違いない。
「そっか、それじゃあ一緒に頑張ろう!」
・・・・・・
「あっ!いましたわ!」
そう言うマリアが指差す先にはスライムがいた。
「ホントだ。マリア、やり方は分かるよね?」
「はい、やってみますわ・・・」
「えっと、テイムをするときは出来るだけ感情を波立たないで対象のモンスターの感情や思いを受け入れる・・・」
テイムのコツってそんな感じなんだ・・・何となくでやってたから知らなかった・・・
「今です、テイム!」
するとそのスライムの下に魔法陣が浮かび上がり、少しして消えた。そしてそのスライムがマリアに近づいてきた。
「こ、これって成功したんですの!?」
「うん、その子はマリアのスライムだよ」
するとマリアは、目を輝かせてスライムを持ち上げて言った。
「やりましたわ!今日からよろしくお願いしますわ!」
なんて綺麗な笑顔なんだ・・・!
「そうだマリア!この子に名前をつけてあげたらどうかな?」
「そうですわね、でしたらこの子のお名前はラムにしますわ!」
「ラム?お酒?」
するとマリアは頬をプクッと膨らませて言った。
「違いますわ!スライムからスイを取ったときに残った文字ですわ!」
「ああそっか、ごめんごめん。良い名前だと思うよ」
「それならいいんですの・・・それでは今日からよろしくお願いいたしますわ!ラム!」
私はこの時、このスライムが後に大変な目に遭うなんて思っても見なかった・・・
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