第14話 バカ呼ばわりですか
「助けてくださいましーー!」
マリアの初めてのテイムから一夜明けた今日、それは不意に起きた。マリアが慌てながら私の家にやってきた。
「ど、どうしたのマリア!?」
「ルリカ!助けてくださいまし!ラムが、ラムが!」
「ラム!?あのスライムがどうかしたの?」
「ラムが殺されてしまいますわ!」
・・・・・・
その言葉を聞いた私はスイと一緒に一目散に城へと向かった。すると・・・
「貴様っ!早くそこへ直れ!国王の我が即刻叩き切ってくれるわ!!」
「や、辞めてください国王様っ!ラムは決してその様は関係では・・・」
「黙らんかぁ!!」
何だ何だ!?国王様がご乱心にあられるぞ!?ていうか怒られてるあのイケメンな美少年誰だ?
「お父様っ!いい加減にしてくださいまし!ほらっ、ラムも怖がっているではおります!」
えっ!?あのイケメンがラムなんですか!?
「マリア!?いや、しかしこれはお前のためを思ってだな・・・」
「マリア!待ってたよマリア!」
そう言って恐らくラムであろう少年はマリアに抱きつく。羨ましい。
それを見た国王様は半狂乱になりながらラムに斬りかかる。
「キエェェェェェェイ!!」
こうなったら抵抗するしかないっ!
「スローリア!」
私がそう唱えると国王様の動きが葉っぱの上のてんとう虫のようにゆっくりになる。
「皆んな!とりあえず逃げるよ!」
・・・・・・
「・・・で、ここに来たって訳か」
「はい、すいませんガルシアさん。急に押しかけてしまって」
ここなら安全だし、国王様が強引に押しかけるのも難しいだろう。
「だが・・・まず前提としてお前誰だよ?」
そう言ってガルシアさんは、例の美少年の方を向く。その子は視線に気づくと自己紹介を始める。
「自分、ラムと言います。マリアにテイムされたごく普通のスライムです。強いて違うところを上げるなら、こうやって人の形をして会話できることくらいですかね」
やっぱりこの子がラムですよね・・・
「なるほど、アンタもマスター個体って訳か。でも何でそんなピンチな状況になったんだ?」
「それに関しては・・・ワタクシが説明させていただきますわ。事は昨日の夜まで遡ります」
・・・・・・
『ふー、今日もいいお湯でしたわ・・・ってきゃっ!?だ、誰ですの!?』
『マリア!ラムです!』
『ラム・・・そんな馬鹿なことある訳ありませんわ!だってラムはただのスライムです!貴方のような人ではありませんわ!』
『そんなぁ、だったら見ていてください!』
そう言うとラムは元の姿にお戻りなりました。私はそれを見て、信じざるを得なくなりました。
『ほ、本当にラムなのですね・・・』
『うん、信じてくれました?』
『ええ、私の周りにも貴方のようなスライムがいらっしゃいますし、信じますわ』
『あ、ありがとうマリア!』
「でもそれだけじゃそうはならないんじゃないかな?」
「ルリカっ!まだ回想の途中ですわよ!」
これは失敬・・・
『朝だぞ我が愛しきマリアよ・・・って誰だお前はー!』
そう、お父様にラムが見つかってしまいましたの!そしたらお父様は私の言うことには耳を貸さずラムをどこかへ連れ去ってしまいましたの・・・
「そして、何やかんやあって今に至りますわ」
あっ、回想お終い?だったら・・・
「それならラムが直接国王様にスライムに戻るのを見せればいいんだよ」
その意見をガルシアさんが突っぱねる。
「無理だな、あのバカはお嬢の事になると途端に人の意見を聞き入れなくなる。見ることなく斬り殺すだろうな」
とうとうバカ呼ばわりですか・・・
「でも、そうなれば他の手段は・・・」
私とマリアが頭を悩ましていると、ガルシアさんが一つため息を吐いて言った。
「こうなりゃアレしかないか・・・」
「アレ・・・って、何ですの?」
するとガルシアさんは微笑み言った。
「荒療治、だ」
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