第3話 マジですか・・・
「スイ、ちゃんと人の形・・・なれてる?」
前回、スイが人型になりました。
「なれて・・・なかった?」シュンッ
「あーっ!なれてる!なれてるよ!」
驚いて一瞬言葉が出なかった・・・スライムってみんな人型になれるもんなんだろうか?
「なれてるけど、急に人型なったから驚いちゃったよ」
するとスイは目を輝かせた後、少しバツが悪そうに言った。
「でも、この姿じゃないとスイ喋れないから」
なるほど、それじゃあ仕方ないか。とりあえずそのことは置いといて、私は本題の質問をする。
「そうなんだ、ところでスイ?」
「どうしたの、ご主人様」
「スライムって、みんなスイみたいに人になれるの?」
私がそう尋ねると、スイは首を横にフルフルと振って答える。
「みんなじゃない、スイみたいに変身が得意じゃないと」
「変身?じゃあ人以外にもなれるってこと?」
「なれる。見てて」
するとスイは、みるみると姿を変え、ウサギの姿になってピョンピョンと飛び跳ねる。
「うわー!凄いねスイ!」
するとスイはウサギの姿のまま嬉しそうに跳ねる。
そしてスイは人の姿に戻って言った。
「ご主人様に褒められるの、嬉しい」
その瞬間、私の脳に激震が走った。
カワイイっ!あまりにもカワイイっ!!
人の形になっても可愛いって反則でしょ!?目はクリクリで小柄で、その背丈に合った言葉のあどけなさ・・・くぅ〜!
「そうだ!スイ、ちょっとやってみて欲しいことがあるんだけど」
「どうしたのご主人様?スイ、何でもやるよ」
・・・・・・
「これでいいの?ご主人様」
あら^〜やっぱりウサミミ合うと思ってたのよ!ヤバイっ可愛いの権化だ。スイは可愛いの権化だ・・・!
「うんうん、いいよいいよ〜」
純粋ウサミミ美少女っ!あまりにも犯罪的!
「もういい?スイはやっぱり普通の人の姿がいい」
おっと、少し興奮しすぎた・・・私は咳払いして答える。
「いいわよ、ありがとね。スイ」
「うん、スイ、ご主人様のためなら何だってするから!」
最後に私はスイに1つ注文をする。
「最後にスイ、私のことはお姉ちゃんって呼んでね」
するとスイは笑顔で言った。
「分かった、おやすみお姉ちゃん」
「ぐはぁ・・・!!」
「お姉ちゃん!?」
・・・・・・
「あ?タネが欲しいって急な要件だな」
「はい、家にいい感じの庭があるので」
私はタネを手に入れる手段を聞くためにガルシアさんの元へ来ていた。
「それ自体は通りにある緑屋根のビバ!ベジタブルで買えるが・・・」
どんなネーミングセンスだ!
「ルリカおめぇ、金あんのか?」
「あっ・・・」
忘れてたぁ!?いや、忘れてたのもおかしいけどさ!
私の表情を見て察したのか、ガルシアさんが私の頭に手を置いて言った。
「まあ、昨日来たばっかだ。金が無ぇのは当たり前だ。そこでとうだ!俺の手伝いとして働くつもりはねぇか!?」
「えっ、えっと・・・」
「仕事内容も別難しくねぇし、何より日払いだからすぐに欲しいもん買えるさ」
日払い、貯蓄もクソも無い私には願っても無い好条件だ。ガルシアさんもいい人だし・・・
「わかりました。お願いします」
私がそう伝えるとほぼ同時に入口から大きな声が聞こえた。
「ルリカ!ルリカはいるかい!?」
声からするにその正体はシュナさんだった。私に何のようだろうか?
「あっいた!ちょっとルリカ!この子が探してたよ」
シュナさんがそう言うと、後ろからスイがおずおずと顔を出した。
「スイ!?どうしてここに?お家でお留守番って言ってたでしょ?」
するとスイは目を潤ませながら言った。
「だって、お姉ちゃんに会いたくなって」
「ぐっ・・・!」
何だよコイツ!メチャクチャカワイイなやっぱりこんちくしょう!!
「ルリカ、誰だいこの子は?」
シュナさんに尋ねられる。私は、この人たちに隠す理由も無いだろうと思い経緯を話した。
するとガルシアさんがうーんと唸った後に言った。
「なるほど、いわゆるマスター個体ってやつだなそいつは」
「マスター個体?」
「ああそうだ、簡単言うとそうだな・・・人間といえどその能力には個人によって差があるだろ?それと一緒でモンスターにも個体差があるのさ」
「その中でも特に特殊能力を得た個体をマスター個体って言うんだ」
なるほど、それでいうとスイは変身能力と言語能力の特能を持ってるってことか・・・
「だけど、何でこのスイちゃんはルリカのことをお姉ちゃんって呼んでるんだい?」
「あ゛っ・・・」
その言い訳考えてなかったぁー!まさか(趣味でグヘヘ・・・)なんて言えないしどうしたもんか。
よしっ!適当にしらばっくれよう!
「えっと、まぁ、色々ありまして・・・そんなことよりガルシアさん!仕事しましょう!手伝います!」
「おっ、おう。そうか・・・」
そして私はシュナさんと別れ奥へと向かった。
・・・・・・
「おっし!2人ともお疲れ!これ、今日の分の給料な」
そう言うとガルシアさんは、私に袋を渡してきた。
「ありがとうございます!・・・え!?こんなに貰っていいんですか!?」
するとガルシアさんは不思議そうな表情で言った。
「当たりめぇだろ。2人分でしかも来たばっかで色々と物入りだろうからよ、その分色が着いてんだ」
マジですかガルシアさんっ!なんてイケおじ!
「そんなっ、ホントにありがとうございます!今日はこれで失礼します!スイも帰るよ」
「うん、おじさんさようなら」
おじさんと言われたガルシアさんは複雑そうな顔をしていたけど、すぐに元の表情に戻って私たちに声をかける。
「ちょっと待ちな2人とも」
その声に私たちはガルシアさんの方を向く。そしてガルシアさんが話し始める。
「次の出勤日だが、特に決まってない。お前らがお金に困ったときに来ればいい。だからとりあえずはその金で生活しな」
ガルシアさーん!いい人すぎるよ!!
・・・・・・
「ただいまー!疲れたなぁ・・・」
「お買い物、たくさんしたね」
「そうだね、畑を作るのに必要なクワとかシャベルとかも買ったからね。スイも荷物持ってくれてありがとね」
「スイ、お姉ちゃんの役に立てて嬉しい」
なんって可愛いのよこの子はっ!!
「どうしたの?お姉ちゃん」
「えっ!?あっ、何でもないよ。それじゃあ明日は畑作り頑張ろう!」
「おー」
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