結……(5-2)
その内紗智も戻ってきて、珍しく三人で会話が弾んでいた。
「ところで、うちの担任はどうしてあんな声で話すの? ギャグなの?」
歩が切り出した。僕達のクラスではよくやる話題だ。
「いやいや、先生には先生なりの……」
そう言ってはいるが、僕の表情はニヤけているだろう……ギャグとしか思えないからだ。
「だから静夜さん、教師なんて一人残らず滅べばいいんですよ!」
その時だった。
「物語科一年の十三班は直ちに全員、職員室まで来なさい。繰り返します……」
どうやら僕達のことらしい。呼び出される理由を考えていると――
ガタッ。ガチャ、バタン。ダダダッ……。
そんな流れるような音が聞こえた。
「何が……?」
風景にどこか違和感がある。よく見れば、この部屋から紗智が消えていた。つまり――
「馬鹿! 紗智が逃げたのよっ。探すわよ!」
「速いな……そんなに教師が嫌いなのかッ?」
その後五分ほど探すが、紗智は完全に逃げおおせた。僕達二人は諦めて、職員室に向かった。五分遅刻の一人欠け……怒られるのは目に見えていた。
「絶対……っ! 許さないんだから!」
歩は地団駄を踏もうとするが、その時間すらなくて苛ついた挙句――
「痛い!」
僕を殴った。
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