承……(3-18)
物語科に午後の授業はない。代わりにそれぞれが班で自由活動を行う。つまり修正者の仕事を各自で予行演習しろ、と言ってるわけだ。活動の成果によって、成績等も大きく変わる。全てはテノールが配ったプリントに書いてあったことだけど。
そんなわけでAクラスも皆、自分達の望む活動場所へ移動した。僕達三人を除いて。
「さて……何する?」
とりあえず僕が切り出した。他の班が一組もいないところを見ると、活動場所を学校内に制限されたのは僕達だけらしい。
「はい、静夜さん。サチは犯罪代行とかしたいです!」
「あっはっは……馬鹿じゃない?」
「あ? 黙れよ、雑魚」
返す罵倒に歩が目尻を吊り上げる……これからいつもこの早さで険悪になるのだろうか。
「まあまあ、歩は活動したいことってある?」
「そうね……人助け、とか」
ほんの少し俯いて、黒髪をいじっている。どうやら恥ずかしがっているらしい。
しかし紗智は容赦などしない。
「プッ……人助けだって? 子供じゃあないんだから」
「よし。覚悟出来てるってことよね。校庭に出なさい、立場を分からせてあげる――!」
「へえ。上等よ! サチが返り討ちにしてやるから」
互いに睨み合う。このままでは、校庭に行って殴り合いが始まるだろう……そうだ。
「待って」
「何を――!」
「二人の案をまとめよう」
怒り狂っていた二人の頭上に疑問符が浮かぶ。これでいい。
「まずは紗智の案。誰かの代わりに何かをやるってことだよね」
「そうですけど……」
「次に歩。君は人助けがしたいわけだ」
「……まあ、ね」
「じゃあ決定だ」
我ながら強引なやり方だか、悪くはないだろう。
「僕達は《人助け代行》をやろう」
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