第8話 イギリス滞在編

僕のイギリス滞在予定は今まで放置してきたことが思いっきり返されたような感じだった。僕は王族としての特権を受けていないから国民からの非難はないが今回の動きは注目されていた。実際は大統領閣下にたまには帰れと言われただけなんだが。



僕にとって公務は不慣れなことで10年ぶりぐらいだったのでキツかった。更に体を鈍らせないためのトレーニングも欠かさずやった。多くの公務は国民と触れ合う事だが僕はどうすれば良いのか分からなかったため周りにいる女王陛下がつけてくれた人達に頼った。彼らがどうすれば良いのか教えてくれて僕はとても助かった。僕の本音としては軍人として一生を終えたい。ロシア軍に両親を殺された恨みを返したい。そして僕を助けてくれたウクライナ軍には感謝しかない。




国民と触れ合っていくにつれて、いろいろな新しいことを学べた。またこの触れ合う仕事の多くは女王陛下の代理だ。女王陛下は歳をとっていて大変忙しい。そしてすぐにではないが、僕が王位を継ぐ可能性はとても高いため、公務を経験していてほしいそうだ。僕は慈善団体の総裁とかは務めていないしなんのパトロンもしていないが、いずれする日が来るだろう。その訓練だと思って僕は公務を頑張っている。そして首相や閣僚達とも少し話した。恐らく顔見せだけだろうがとても疲れた。




また、僕には国賓の接待役なども務める必要があった。僕も一様軍に入る前に、プロトコールなどを習ったし英国軍にも一瞬だけ所属していたため軍服は着用できる。ただし初めて会う人ばかりであまり表に出ず、知名度もない為、自己紹介が多くて苦労した。僕は人見知りで人の前で喋るのが苦手だ。仮面をつけてならいけるが、たくさん喋らさせられるのはキツかった。僕は沢山の公務に追われ続けて、イギリス滞在は一瞬で終わった。ただ僕的には休みなんてなかったし、一様軍の休暇を使っているのだが、これはどう見ても休暇には思えないような過ごし方であまりお世辞にも楽しいとはいえなかった。そもそも僕の母国語はウクライナ語で英語とフランス語もある程度話せる程度だ。その他にはロシア語は大の得意だし、スペイン語もフランス語よりは劣るがまあまあ話せるだけだ。そのためずっと英語で過ごす1日は結構キツかった。早く軍でウクライナ語を使って毎日頑張って訓練をする日に戻りたかった。それに絶対副隊長には苦労をかけているし、イギリス軍の訓練には少し式典みたいな感じで参加したが僕が普段ウクライナで行っている訓練と比べると緩かった。まあそもそもずっとマスコミに見張られている時点で最悪な状態だ。ただしそんなこんなで毎日頑張って公務を行なっていると意外とすぐに帰国の日がやってきた。その前日には女王陛下が王族や親戚を呼んでお別れの会を開いてくれた。僕が次にイギリスに来るのはいつかわからないが暫くは軍での任務を続けるつもりだ。







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