第4話 最強部隊の隊長の一日

僕が体調になってから一週間たった。僕の1日は朝4時に起床ラッパが響く事で始まる。僕らの部隊はどんなに平であろうと専用の部屋とバスルームを持っている。何故ならそうしないと規則上マスクを永遠に外せなくなってしまうからだ。起床ラッパが廊下でなると直ぐに起きて簡易制服を着る。そしてマスクとサングラスを着用する。そしたら勤務用カバンを持って外に出て歩く。そのまま寮の外の中庭まで行く。そしたらカバンを置いて決まった位置に整列する。ここまでに5分だ。そして平の隊員は起床ラッパを行うなどの当番があるので余計忙しい。僕もその当時は苦労していた。





外に集まると各部隊の当直が全員の格好などを点検する。そして確認が完了すると僕の元に来て報告する。全員のチェックが完了するとまず走り込みをする。一周1キロの校庭を10周だ。それを30分以内に完了する。これに脱落する隊員は誰1人いない。何故なら入隊試験でも同じ事をやるからだ。脱落していたら入隊はできない。それが終わると終わった人から元の位置に戻る。そして早く終わると休憩時間ができる為皆早く終わらせようと必死だ。ただ今日も僕がいつも通り一位で終わった。僕は13歳の時からこの部隊にいる為体力が1番ある。さらに走るのも早い。そして未だ最年少隊員だ。僕の次に若いのは27歳の奴で今年入隊したばかりだ。普通はこの舞台に入るのに入軍から5年ほどかかるから4年で入った彼も若い方だ。そして一年で入った俺は異常だ。走り込みが完了すると500回の腕立て伏せをする。その後この部隊専用に作られた特殊な体操をする。これでも通常の部隊より厳しいがウクライナコサックではこんなの序の口だ。これが終わると一旦解放され、直ぐにフル装備で集合する。この時点で朝5時。







フル装備で集合すると全員銃の発射練習をする。僕らは工作員でもあり普通に戦場で戦うこともある為色んな訓練をする。この銃の発射は5種類の銃を少なくとも使いこなせないといけなく、走りながら的に向かって正確に撃てる必要がある。ただ常に実弾射撃で危険な為隊員一人一人が順番に行う。そしてそれぞれの小隊ごとに訓練室が別だ。僕たちのような幹部も行う。1時間半ほど行なった後朝食の当直のもの以外は休憩が30分ほど与えられる。ここにも専属の料理人は存在してその者達が作った料理をセッティングしたりなどの食堂の準備をして朝7時に全員で食事を食べる。








食事の後は各部隊により違う事をやり僕は3時間半ほど様々な訓練に費やして11時から執務を行う。執務には様々な申請書などがありよく確認しないといけないから一枚に5分ほどかかる。それは毎日山積みになっている為大変だ。我が部隊では隊長と副隊長以外は執務を行わない。補佐官などは存在しないのだ。そして12時に昼食を食べて執務を終わらせにかかる。また今日は大統領と国防大臣に会う日だ。1ヶ月に1回はこうして面会の日がある。そこで様々な話し合いをするのだ。








キーウはここから1時間ほどなので午後3時に基地を出てキーウのマリエンスキー宮殿に車で向かう。運転手は隊員の1人だ。この時はちゃんと正式な正装を着用する。そして裏から中に入った。僕はそのまま直ぐに大統領の執務室に案内された。僕は5歳の時に始めて来てから何度もここに来ている。そして机には大統領と国防相そしてウクライナ軍最高司令官、参謀長が待っていた。参謀長は僕の元上官だが現在はコードネームを使わなくなってマスクも外しているのでだいぶ関係が変わった。そして僕の配下は最強な為通常とは僕の待遇がだいぶ違う。

「ウクライナ大統領閣下、国防大臣閣下、最高司令官閣下、参謀長閣下久しぶりです。」

「俺が抜けてから一週間だが大丈夫か。」

「問題は今のところ起きていません」

「それは良かった。」

「かしこまるな。して報告を聞かせてほしい。現在は平穏だといえどロシアは何度も講和条約を破って来た。信用できん。」

「はい。ロシア国内では現在の政治体制に不満が増大しているようです。事実上ソビエト下に戻ったようですからね。」

「そのことはСБУからの報告と同じか」

「はい。我が部隊ではロシアの再侵攻に備え訓練を厳しくしようかと考えています。」

「ヌルじゃなくてゼロお前本気か?」

「はい、参謀長」

「お前は若いから余裕かもしれんが俺にとってはすごく辛かったんだが。感覚がおかしい。それにすでに厳しくしているだろう。」

「そうですがそれが何か?後現在は我らはドローンの操作訓練を重視しています。もし戦争が開始したら我が隊員の他にロシア領内にドローンを侵入させます。そしてドローンで軍事基地に向かってミサイルを発射させます。そしてそこで慌てている間に爆弾を仕掛けるなどをしてロシア軍の備蓄弾薬を破壊させる予定です。あと新しい戦闘機や防空システムを配備したい。その為資金を増やしていただきたい。」

「それはいいな。許可を出す。」

「有難うございます。国防大臣閣下」

「それと参謀長と国防大臣、最高司令官席を外してくれ。」

話し合いは順調に進んで来年僕らに当てられる国防予算は少し増やされた。これで西側の最新兵器をもっと買える。我が部隊では防空ミサイルや戦闘機なども配備されていてそれを最新機種に更新するつもりだ。候補としては日本のF4などだ。あれは最強装備と名が高いF3の後継機種で大幅な機能アップデートが行われている。これは日本の友好国でないと厳しいがかなり僕にとっては交渉しやすい。僕の高校時代の友達の父親が現在参議院議員で防衛相だ。彼の父と直接交渉するのは悪くないだろう。僕自身もあったことがあって良くしてもらった。今も個人的に繋がっている。

「はい」

「了解」

「わかりました。」

3人とも席を外した。

「これからはイギリスの王族として話してくれ。」

「わかりました」

僕はマスクを外した。

「イギリスの女王陛下がケンブリッジ公爵オレクサンドル王子に帰国を要請されていている。たまには帰れ。君は働きすぎだ。爵位の授与などもオンラインでやるのはやめたほうがいいぞ。聞いた所によると少なくともここ11年は休暇をとっていないだろう。2,3ヶ月ぐらい休暇を取って王族として公務をしたらどうだ。」

「わかりました。休暇を取らせていただきます。イギリス軍の退役に合わせて行きましょう。ただ誰を代理とすればいいでしょうか。あとあまりにも休暇を取りすぎると体が鈍るんですが。」

「イギリスでも鍛えられるだろう」

「たしかにそうですね。わかりました。」

「それは良かった。女王陛下にも伝えておこう。」

「ありがとうございます。あと絶対に僕がイギリス王族関係者であることは公表しないでくださいね。」

「もちろんだ。それどころかそなたの舞台内では隊員同士の名前も知らないんだろう。」

「そうですが。」

「なら心配はいらないだろう。」

「はい。」

僕は大統領と別れて基地に戻った。






このあとは再び大変な執務の時間だ。あと僕は休暇を取ることを副官に教えた。副官は僕が今まで一度も休暇を取った事がないのを知っていたからとてもびっくりしていた。そして七時に夕食を食べると今日の勤務は終了した。かなり疲れるが初期の頃と比べるとだいぶマシだし執務がめんどくさくなっただけだ。















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