第8話 炎の舞姫

第8話


『ドラッ!?』

「ちっ、流石に一発じゃ沈まねぇか………」


このドラゴンを騙るトカゲ野郎、鱗があるからか地味に硬かった。


武器も有るし、面倒な相手だな…


「でも、十発くらいで沈めてるじゃないの、貴方………」

「そういう赫月さんこそ、ほぼ一太刀か二太刀で殺ってんじゃん………」


何か呆れて物が言えない雰囲気を出してるけど、貴方も大概だからな?


しかし、やっぱり強いんだな赫月さん………


俺じゃ武器を壊すのに何回も打ち込む必要があるのに、一回で斬り捨ててるし………


「しかし、数が多いな………」

「ええ、さっきからキリがない。」


倒しても倒しても何故か、このドラゴンモドキのトカゲ共は湧いてくる。


これじゃあ、まるでゴキブリだ。


「ちっ、一か八かだ!」

「はぁ、形振り構ってられないわね!」

「「えっ!?」」


俺が炎を使ってトカゲ共を一気に燃やそうとした瞬間、彼女が持つ剣に炎が纏った。


俺以外にも炎を操るスキルを持つ者が居るのは理解わかっていたが、まさか直ぐに会えるとわ………


『ドラッ!!』

「赫月さんも炎使えるんだな………」

『ドラドラッ!!』

「貴方もなのね。しかも、結構火力高いじゃない。」


襲い来るトカゲ共を捌きながら、お互いを見つめ合う。


親近感というのはこういう物なのだろうか?


俺は何とも言えない不思議な感覚に戸惑っていた。


「そうか?火力なら赫月さんの方が上だと思うぞ。俺より殺せてるしよ………」

「私は貴方より年季が有るのよ?当然の話じゃない。むしろ、初日であんなに殺せる方が可笑しいのよ。しかも、結構酷い死に方しちゃってるし………」


────それもそうか。


しかし、そんなに酷い死に方か?


何か燃やされたトカゲ共が、内側から火を吹くみたいに破裂して死んではいるが………


────いや、確かに酷いなコレ!?


何でそんな死に方してるんだろう………


「でも、一歩足りないわね………」

「さっきよりは殺せてるが、それでも増える数の方が多いな………」


さて、どうした物か………


「ねぇ、貴方?」

「何だ、赫月さん?」

?」

「はぁ?」


何を言ってるんだ、この人!?


燃えるぞ?下手したら………


「変な心配は無用よ。それよりも早く、私にちょうだい?」

「はぁ………燃えるなよ!!」


彼女の言う通りに炎を向ける。


すると、俺の炎は彼女に吸い込まれる様にして消えていき………


「さ………」

「さ?」


あれ、固まった!?


こんな時に危ないぞ、赫月さん!?


って、あれ?


「最高っ!!!!!!!!!!!」

「へ?」


固まっていた赫月さんが急に叫んだ。


というか、謎のハイテンションになった。


「ララララ〜ララララ♪」と、変なリズムを刻みながら、小躍りしてる。


マジで何してるんだ、この人………


「最高!大最高!!マックス最高!!!ハイパー最高よ、この炎!!!!」

「な、何かキャラ変してないか、赫月さん?」

「そう?私はずっと素よ?」

「お、おう………」


じ、自覚無いパターンか、可哀想に………


「じゃあ、行っくよ〜♪」

「おい、ちょ、待っ────」

「【戦乙女の鉄槌ヴァルキリー・インパクト】!」


続く

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