第10話 ギフト(2)
リビングに戻ると、登校の用意を始めた
「もう、友達が泊まりに来るのなら早く言ってくれないと。こっちだって色々準備することがあるんだからね」
母はさっきよりもピリピリした様子で言った。オレンジペコーの入った木製の小箱をキッチンの戸棚の奥にしまった。
――用意ってなんだろう。フローリングの床に掃除機をかけたりとか花びんの花を生け換えたりとかそういったことだろう。
「ごめんなさい」
凛音は言った。
「あざれさんとは一体どこで知り合ったの? 学校は違うわよね。年齢は同じはずだけど」
「ええっと」
どう説明していいかわからない。黙っていたら、
「お姉ちゃん、いい友達持ったじゃない。仲良くしておくといいよ。ブランド物の服とか時計とかプレゼントしてもらえるかも!」
花鈴は目をキラキラさせた。もしかしたら花鈴には、グッチかディオールの服に身を包んだあざれの姿が見えていたのかもしれない。
凛音は心の中でため息をつく。
「私、学校行くね」
逃げるように家を後にする。
なんだか朝からとっても疲れてしまった。
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