第7話 レザーをまとった女(4)
メガネを外し、ジャケットの胸ポケットに収める。鏡に映る
「うん、なかなか似合うじゃん、私。どう、
「最高だぜ、お嬢ちゃん。五年待つとは言わねえ。今すぐデートしようぜ」
虚ろな表情で山嶺は言った。催眠術で自分の意思は奪われているのだ。
「ジャケットもらったし、このあと一度ぐらいはしてもいいよ。それにしてもごめんね。あんたのレザー、加工しちゃった」
ジャケットはそのまま着るとダサかった。
切ればいいじゃん。そう思った時、爪が熱くなった。爪がにょきっと四十センチメートルぐらい伸びた。切れ味は日本刀並みによく、レザーでもスパスパ切れた。これもアダムがもたらしたちからか。凛音は自分が人間ではないものになってしまったことをこの時実感した。
胸の位置から下を切り裂いてセクシーなアクセントをつけた。パンツは股のつけ根から下を切ってホットパンツ状にした。
パジャマとスポーツブラを脱いで、凛音は新しい服に身を包んだ。ぐっと色っぽい、オトナな服に。
全身が
見てほしい――この姿を――アダムに。
「行かなきゃ」
「どこに行くんだい?」
「廃ビルの屋上だよ。ここからごく近く。今聞いた話だと“彼”はおめかししたわたしの姿が見たいんだって」
「そうかい。行ってこいよ。気を付けてな」
「ありがとう。あんた、結構いいやつだね。やっぱりこの埋め合わせはどこかでするよ」
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