第2話 中止?

 いつもの通り、木曜日の夕方にこん助はぽん太と約束している場所へ向かった。


いつも先に来ているか、遅くともこん助のすぐ後に現れるぽん太はなかなか来なかった。


そのうち日が沈み、月が出てきてもぽん太は現れなかった。


「どうしたんだろう…。」


こん助は心配になったが、ぽん太のすみかを知らないので訪ねることはできなかった。仕方がないので葉っぱの裏に「キョウハ カエリマス コンスケ」と書き目につきやすそうな所に置いて小石を乗せた。こん助は首を傾げつつ、自分のねぐらへと帰っていった。


次の週も、その次の週も、ぽん太は現れなかった。ぽん太はもう、勝負をしたくないのかもしれない…とこん助は考え始めた。


それでも、毎週木曜日の夕方には、こん助は約束の場所に足を運んだ。今日こそはもしかしたら…という考えが拭いきれなかった。


しかし、季節が変わり雪が降り始めても、ぽん太は現れなかった。

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