異世界、到着。

冷たい。


始めに思ったのは、それ。

床が、冷たかったんだ。

ひんやりと。

だから、「ここは、どこ?」ときく前に、

「冷たい」

なんて、言ってしまった。


すると、

「すまない」

と、声が降ってきた。

見上げると、

物語で見るような玉座に、男とおぼしき人影が見えた。

顔は、はっきりとは見えない。


「ここは、どこ?」

ようやく、言えた。


「謁見の間だ」


はっ? なにそれ? 聞いたこと、ない。

ボクには、わからない。


「この世界を統べる王である我が、」


ん? ちょっと、待って。

世界? 王?

一体、ナニコレ?


床が冷たいだけじゃなくって、この部屋、寒いんだよね。

ボク、夢、見ているのかな?

夢にしては、やけに、この床、固いんだけど。

お尻、痛くなってきた。

だって、ボク、ずっと、床の上にいるんだよ。


『あなたは、魔王の血をひく御子息なのです』


えっ? 今、なんて?

ボクに手を差し伸べた、あの声が、言う。


「そういうことだ。息子よ」


息子?


「初めまして、だな」


???


コレ、夢なら、早く、覚めてよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る