お迎え

ある日突然、黒塗りの車が家に横付けされて、自分を迎えに来るだとか、

そんなこと、

物語の中でだけだと思ってた。

だから、

家の玄関の前に真っ黒な車が止まった時は、

本当に驚いた。

けれども、

しばらくすると、その車は、音もなく、消えていた。

あれ?

ボクの見間違い、だったのだろうか。

そんなことを思いながら、

部屋の窓から外を見ていると、

「うわぁ!」

ここ、二階だよ。

なぜ、目が合うの?


目の前に、人が浮かんでいた。

『お迎えに上がりました』


そういって、差し出された手を、

何の疑問も抱かずに、

ボクは、手をとった。


瞬間、

目がくらみ、

世界が回り、

まわり、

まわり、


どこかに、着いた。


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