第103話 本編完結。
菜々子ちゃんと恋人になって、初めて知ったことがある。彼女は白雪グループ現会長の孫だった。しかも僕への告白の数日前に光君とお見合いをしていた。
話を聞いた僕はびっくり仰天した。菜々子ちゃんは僕を好きだからとお見合いを破談にした。僕は一生菜々子ちゃんを大切にしようと誓い、彼女にその想いを伝えた。
さらに驚きがあった。白雪グループ現会長に恋人になった報告をしてほしいと菜々子ちゃんから頼まれた。
白雪グループの会長が光君と光君のお父さんから僕のことを聞いて、僕のことを気に入ったらしい。恋人になったその日の夜に会長に会いに行った。
場所は会長の家。豪邸。初対面の感想は優しそうなおじいちゃん。会長は菜々子ちゃんをめちゃくちゃ可愛がっているのが分かった。菜々子ちゃんのお父さんとお母さんも一緒だった。
会長と菜々子ちゃん両親は僕に菜々子ちゃんのことをよろしくお願いしますと丁寧な挨拶をしてくれた。
僕も一生大切にしますと返事をした。光君親子のおかげなのだろう、終始穏やかな時間を過ごせた。
会長の提案で、僕は白雪グループ本社で働くことになった。しかも祖父、両親の菜々子ちゃんと同棲の許可つき。
僕は迷うことなく二つ返事で提案を受けた。僕は菜々子ちゃんの恋人になった一週間後には就職して、愛する菜々子ちゃんと同棲を始めた。
◇◆◇
菜々子ちゃんと同棲生活を始めてから三ヶ月が過ぎた。僕たちは会長が用意していたマンションで暮らしている。結婚して夫婦になるのはもうしばらく先の話。
菜々子ちゃんとの同棲生活はとても幸せで充実していた。
僕は白雪グループでの仕事も順調で、会社の皆からも温かく迎えられた。会長は僕を応援してくれているようで、様々な機会を与えてくれた。そのおかげで、僕は仕事のスキルを磨くことができ、成長することができた。
同時に、菜々子ちゃんも自身の夢に向かって努力していた。彼女は美容室の開業の準備を着々と進めていた。僕もできる限りのサポートをしている。
時折、菜々子ちゃんの両親や祖父とも一緒に食事をする機会があった。彼らは僕を家族として受け入れてくれ、菜々子ちゃんとの将来について話し合ったり、助言をくれた。そんな充実した時間を過ごすことで、僕と菜々子ちゃんは絆を深めることができた。僕たちは楽しい日々を過ごしている。
「菜々子ちゃん、今日の夕食は何がいいかな?」
僕は菜々子ちゃんに尋ねながら、冷蔵庫を開けて中身を確認した。
「今日はテツさんの特製カルボナーラが食べたいな」
「了解、特製カルボナーラだね。それじゃあ作るね。材料は揃っているから、すぐにできるよ」
と僕は笑顔で答えた。僕は同棲生活を初めてから本格的に料理を作るようになった。料理を作るのは楽しい。
キッチンで調理を始めると、菜々子ちゃんは椅子に座って僕の様子を見ている。
香ばしいベーコンの香りとクリーミーなソースの調和が広がり、料理が完成してお皿に盛り付ける。
「できたよ、菜々子ちゃん。特製カルボナーラだよ」
菜々子ちゃんは喜んでいる。二人でテーブルに座り、カルボナーラを食べる。口の中に広がる濃厚な味わいに、菜々子ちゃんはうっとりとした表情を浮かべている。
「はぅぅ。テツさんの料理は本当に美味しい。ありがと」
「ははっ、料理を作るのは楽しいから、いつでも作ってあげるね」
食事をしながら、菜々子ちゃんとの日常の会話が弾む。お互いの仕事や近況報告なども含めて話をしている。
「菜々子ちゃん、美容室の開業の準備、順調に進んでるみたいだね。何か手伝うことがあったら教えてね」
と僕は優しく言った。菜々子ちゃんは嬉しそうに頷く。
「ありがと、テツさんに負けないように私も頑張るね」
夕食も食べ、二人で後片付けをする。それからお風呂に入って、リビングのソファーに並んで座り、ニュース番組を見ながら缶ビールを飲む。
「えっ?!」
ニュースを見ていると僕は思わず声を出してしまう。菜々子ちゃんも驚いている。
驚いた理由は、由里香がマッチングアプリで知り合った複数の男性からお金を騙し取り逮捕されたと報道された。結婚詐欺をしたらしい。被害総額は三千万円以上。
「テツさん、大丈夫?」
隣に座っている菜々子ちゃんが心配そうに僕を見ている。
「大丈夫だよ。ちょっと驚いただけ。由里香とは終わっている。彼女がどうなろうと関係ないよ。二度と関わることはないしね」
「そうですね。由里香さんがココまで落ちぶれるとは思ってなかったです」
その後のニュースに明るい未来へ希望を持てるものは少なかった。自称個人株投資家の女性に監禁されていた男性が、搬送された病院で死亡が確認されたなど、一般人の僕には想像できない事件が多い。
テレビを見ていると、菜々子ちゃんの頭が僕の肩に寄ってくる。
「テツさん、私は今、すっごく幸せです。世界で一番の幸せ者です」
「僕も世界一幸せ者だよ」
「テツさん、ずっと私のそばにいてくださいね」
「うん。もちろん」
菜々子ちゃんは僕の肩から頭を離した。
「テツさん……明日も早いからそろそろ寝ませんか……」
菜々子ちゃんは顔を赤らめ、僕を就寝へと
「そうだね。寝よっか」
晩酌の後片付けをしてテレビとリビングの電気を消す。そして僕と菜々子ちゃんは手を繋ぎ寄り添って、寝室へと向かった。
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