閑話 ホムンクルスの見る未来

私達を造ったのは怖い顔をしたお爺さん。


いつも何かにイライラしている。

毎日ガラス越しに聞こえるのは、難しい言葉に、大きな金切り声。

彼は偉大な魔法使いらしい。天才研究者?

本人が言っているのを聞いただけだから、本当かどうかは知らない。

秘密の研究しているみたい。

その為に私達を造ったようだ。

お爺さんの代わりに働く、大きな石の人形。ゴーレム?

それがガラス筒から、私と同じ顔の女の子を引き上げる。

建物中央。広く空けてある場所。実験場所?

白い石の床には複雑な模様。魔法陣? 

他にも色んな道具が並んでいる。

その中央に空っぽの女の子が連れていかれる。

無抵抗。

彼女は、ぼんやり座り込んでいるだけ。

お爺さんが離れた位置から何かをする。呪文? 装置を使う?

地面が光って、白い光が空っぽの女の子を包む。

そして彼女は弾け飛んだ。

まるで赤い花火。花火?

びちゃびちゃと赤い飛沫が、私のガラス筒にまで飛んできた。

お爺さんが金切り声で床を蹴る。

今日も私が一人減った。

簡単に増えるけど。

次は私の番かな?

適当に選んでいるみたいだから分からない。

運が良ければ、まだまだ大丈夫。

でも何時かは選ばれる。


こわいなあ。

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