第4話 白日

そんなことが何度か続いたある日、佳奈さんは泣きながら僕のアパートにやってきた。


「Aくん。何も聞かんと今日と泊めてくれん…?」


僕は黙って頷くと彼女を部屋に招き入れた。


座卓の前で一点を見つめて三角座りする彼女に、僕はホットミルク淹れてそっと彼女の前に置いた。


「ありがと…」


そう言って彼女はホットミルクをすすった。


三口ほどすすると、彼女はポロポロと涙を流した。


僕はどうしていいか分からずに、黙って彼女の小さな背中を擦った。


慰めているはずなのに、彼女の背中から伝わる柔らかさと温かさに、僕は内心ドキドキしていた。


そうしていると突然彼女は声を出して泣き始めた。


泣きながら僕にしがみついた。


僕は少し迷ったけど、彼女を座ったまま抱きしめて頭を撫でた。


小さな女の子の佳奈さん。


聞きたくない、知りたくない何かに傷付いて泣きじゃくる佳奈さん。


僕は自分の中に見知らぬ感情を見出した。


それは沸々と湧き上がって彼女を抱く腕に力を与える。


「僕は…」


彼女は涙目で僕を見た。


「僕は佳奈さんを傷付けないよ」


僕はそう言って彼女の涙で濡れた瞳を真っ直ぐに見つめた。



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