第2話 彼女について
「ね。Aくん!! 今から抜けてカラオケ行かない!?」
佳奈さんは目を輝かせて僕に言った。
「い、今からですか?」
「うんうん!! このミーティング、どーせ私達がいてもいなくても関係ないけん!!」
僕がオドオドしていると彼女は目を細くして甘えた声を出した。
「お願いぃ〜!! Aくんの歌うGRAPEVINE聞きたいぃ〜」
そう言って彼女は笑うと荷物をまとめて講義室から出ていった。
するとすぐに、講義室のドアの隙間からひょっこり顔を出して僕を手招きする。
声は出さずに早く早くと口だけ動かす彼女について、僕も講義室から飛び出した。
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彼女について説明しようと思う。
彼女はサークルの人気者だった。と思う。
ボーカルでキーボードも弾けた彼女はヘルプで色んなバンドに入っていた。
彼女のメインバンドはJUDY AND MARYのコピーバンドで、彼女が出演する番になるとたくさんの友達が最前列に押し掛けた。
それに、彼女にはたくさんの男友達がいた。
あっちこっちで仲良さげに男友達の肩を叩いては、ケラケラと笑って眩しい笑顔を振りまいていた。
先輩も同級生も後輩も。
彼女は男女関係なく、いつもたくさんの人に囲まれていた。
そうかと思うと突然ふらっといなくなって、やっと帰ってきたかと思うとまた人の輪に飛び込んでいく。そんな
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