雑草取り
数時間後
私は今雑草を取っている。両手には黒い軍手をはめていて、足下には円盤状の機械がある。
この軍手と円盤状のその機械は同期している。
どうやらこの軍手をはめている人の手の動きがそのまま円盤状の機械の中で再現されるらしい。抜いた雑草はある程度の量になると、その機械の中で取った雑草によって巻かれた状態で束になって出てくる。円盤は雑草がなくなった範囲の分だけ指定された範囲内を自動的に進む。おかげでいちいちしゃがまず地面にあるものに力を及ぼすことができ、直立の状態で歩きながら腕を動かし雑草を取れる。端から見たら不思議な画だが、円盤状の機械が上を通ったその後の地面から雑草が抜けているのが、ただの不思議な光景にさせなていない証拠だった。
もう作業を開始して数時間経っていた。さすがに機械を使っているとはいえ手作業での雑草取りだ。まあこのくらいはかかるものなんだろう。
それでもあと少しで終わる。束になった雑草は纏めて、指定された場所に置くらしい。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
終わった。
「フゥ・・・」
そういえば作業を終えた報告はどうすれば・・・、とスマホを取り出した。
アプリを確認する。メッセージのログを見ると、先ほど送られてきた地図の下に作業終了の申告ボタンがあった。
それを押し、しばらくするとまた、ぽん、とメッセージが来た。
『作業を続けたい場合は続けるボタンを押してください。今日の作業は終了となります。』
「・・・・・」
色々なことを思った。これだけで終わりかとか、楽なバイトだな、とか。
「・・・・・」
続けてみようか。
「・・・・・」
いや、その前に休もう。機械の補助があったとはいえ、地面から雑草を取るほどの力で腕を使い続けていたんだ。身体も疲れている。
一度帰ろうか、とも思ったが
「(面倒だなあ)」
それも違う。
「・・・・・・・・」
さっき閉じたアプリをもう一度開いた。
『少し休憩して作業を続けたいので、庭にあるベンチを使わせてもらってもよろしいでしょうか』
メッセージを送信した。
すぐに返信があった。
『庭にあるものは全て自由に使ってもらっても構いません』
「・・・・・・」
アプリを閉じてベンチに向かう。
ベンチに座った。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ふと上を見た。
雲があった。いや―――、
雲が流れていた。
そういえばこうやって雲を見るのっていつからしていなかったんだろう・・・・・・。
「(・・・・・・・・・・・いつから・・・)」
その広い空に意識を向けていると、急激に眠気が襲ってきた。
「・・・・・・・・・・・・すー・・・・・」
いつの間にか、すー、すー、と寝息を立てて私は眠りについていた。
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