第5話 大学生時代

 まだまだ暗黒期は続く。恐ろしいことに。思春期からの毒牙を引っこ抜く術を知らないどころか、感情だったり傷ついた記憶を流すという概念すら知らなかった私は、ついにレベル違いの大学に入ってしまったことで病んでしまう。ぎりぎりで滑り込めた大学は、スマートで頭が良くて活動的な学生ばかりが存在し、泥臭く生きてきた私にとって、あまりにも世界が違いすぎた。それに、私自身の願いは、人と交流することでも、勉学に励むことでも、サークル活動にいそしむことでも、バイトでお金を稼ぐことでもなかった。ただ漫然とゆったり生きていきたいだけだったのだが、不幸にもこの真なる願いを聞き取れなかった私は、上記の活動全てをしてしまう。並の大学生になろうとしたのだ。結果、毎日の活動が許容量オーバーになってしまい、発病してしまう。弦楽器のサークルに、本当は入りたくなかった。「そうしたほうがいいかな」と外発的な動機づけで入ってしまった。しかも、学部の勉強もそこまで熱中することができなかった。専門というが、自分自身はオタクではなくどちらかというとサブカルミーハー気質に近い。そういう自己分析をもっとしておくべきだったと今にして思う。就職活動も適当にこなし、一つだけ受けてさっさと内定を出してくれた会社に入社した。ここから、うだつの上がらない社会人生活が始まった。

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