神韻縹渺
アーバンアートとヒドゥンジェムズ
神韻縹渺1
九龍城の細く入り組んだ道のコンクリートには、フリーハンドで路地名や番地が直接書きこまれていることが多々。
そんなアートを眺めつつ──時々案内板として頼りにしつつ──
社交街、龍津路、青年中心。下道を走り屋上を跳び縦横無尽に駆け回る。スラムから花街を抜け中流階級エリア。富裕層地域まではあまり行くことはないが──依頼があれば全然行くけど──道中、人々の暮らしを窺ったり新規の食べ物屋をチェックしたり。
松柏の甘味処、閉めたのか。でもガラス窓にリニューアルオープンって紙貼ってた。龍津道路側にあったスーパーは移転…あと二巷に新しい
考えながら地上へ降り、途中で買った
耳に入る音楽は二胡、喜洋洋。めでたい曲。子供の笑い声がする。すぐそこの広場からも────
「わ、すご」
何の気なしに視線を向けた広場、というか、空き地。奥の壁
正直…絵に関しての知識は全く自信がない。なんだか良いな、なんだか不思議かな、なんだか素敵だな。そんな程度の感想しか出せず評価など出来る訳もなかった。なので、どこがどうすごいのか、説明をするのは難しくはあったが。
気が付くと手の中の
乱雑に積み上がった廃品の陰。小さな頭が、2つ並んでこちらを凝視していた。
突き刺さる眼差し。
手を繋いだ子供だ。両方とも
「どうなのですか」
「どう、って?」
「
「良い、って?」
交互に訊かれ交互に返す
「俺はすごい好き」
かなり端的ではあるものの、
「さすが
「
互いの
「これ、2人が描いたの?」
「
「
ハモって指を差しあい、キョトンと顔を見合わせ、それから‘が’を‘と’に言い直した。
「すごいね。えっと…
顎に親指を当てる
「あなたはどなたなのですか!」
「お名前を教えてくれますか!」
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