飛天と両鳳・前
両鳳連飛17
「ちょぉ待ちぃや
張り上げられた大声に面食らった
「よ、良かっ、た、追い付、いて」
「
「な、なにゆえも、かにゆえも!!あらへっゴファッゲファ!!」
啖呵の途中で思いっ切り咳き込んだ。状況が把握出来ていない
ちくしょう脇腹が痛過ぎる…これでも時たまランニングしてんねんぞ?筋トレやってちょいちょい…まぁええわそんなことは。
「
その追及へ
「参ったな。耳が早い。さすが、情報屋の名は伊達でないな」
否定もせず感心する姿は、落ち着いた様子。
「
「貴様達が居るだろう?
「そら
「いや、居ないほうがいいんだよ自分は」
居ることによって火花が散り、守るどころか逆に狙われもしてしまう、と乾いた声音の
「
見えないところで成長している。
「そうかもな。
それは───そう言ってしまえば、そうなのだろう。否定は白々し過ぎて出来ず、しかし当然ながら肯定も出来ずに、
「順番やからって送り出せるわけないやん。今までのこと考えてしもたら、そら都合ええて感じるんもわかるけど、‘ほんなら行ってらっしゃい’とは
善だ悪だ、是だ非だなど、全て個人の
その
「仲間やんか?俺ら」
きっと──────絆と呼ぶんだ。
あの屋上で、あの海で、握れなかった手は…俺が踏み出せなかったから。踏み出したのが遅かったから。引き止めるんが無理やからって、諦めてどないするん。せやったら…俺が踏み出すんや。もう1歩。
「俺も、行く。引き止められやんならついてくわ。独りにはようさせん。玉砕覚悟なんちゅうんは許さんで」
もう
「っ、ははっ!あははっ!全く…実にお節介なのだな、貴様達は…」
「せやねん。やから、大人しく世話焼かれてもろて」
ドヤる
「ならば、
「当たり前やん。貸せる力が足りとるんかは別やけどな」
そこは
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
足を運んだ家屋は、さすが富裕層地域寄りのエリアというべきか。廃墟にも
かなりの大広間。高い天井、おそらくもとはクラブ…よりはいくらか古めかしい。ディスコといったほうが近いだろうか?意味合い的な差は無いけれど。入口を通って遥か前方、奥にあるステージには光が灯り、フロアへと乱雑に配置されたテーブルや椅子では成金
ズカズカ中に入ると空いていたダブルソファに座る
「遅かったな【十剣客】」
「あぁ、
「なんだその連れは」
「相棒。
中央に居るまとめ役風の男が発し、愉快そうに
そもそもこの状況で‘愉快’とは
相当数が居る。非戦闘員ももちろん存在するだろう、実際
「不利、どころの騒ぎとちゃうやんかこれ。どないすん」
「
「え!?…2人…とか」
「2人か…え?2人?」
口元に手を当てつつ、2人、と何度も小さく復唱する
「聞いてるか?【十剣客】」
「ん?すまん、ひとつも聞いていなかった」
なにがしか相談をしていたマフィア連中から話を振られた
「九龍での利権争いや勢力拡大の為に、【
「あぁ、それか。以前にも断らなかったか?別の人選にしてくれ、自分は手を引くから」
要望をサラリと棄却。場の空気などには
「手を組まないなら危険因子だな」
男の言葉と同時に、後ろにいた輩が
あっ俺ですか…そらそうやな、弱そうなほうから片付けるんはセオリーやんな…。動揺を悟られまいと平静を装う
「
「却下だ」
「そうか」
短いやり取りを交わした刹那─────軽く腰を浮かせた
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