常夜灯とスイートホーム・前
過日残夜6
深夜、山道を滑る
生い茂る木々や雑草をヘッドライトが舐めていく。ハンドルを切る
雑談をしつつ走って、
「
「え?
「俺は見えるけど」
「私は見えないよぉ!」
「
シートの
「老眼もあんだからさぁ?お目々大事にしなさいよ」
「なにぉう
「俺これ素通しだもぉん」
「そうなの!?え、じゃあどうして眼鏡かけてるんだい?イイ男が隠れちゃうじゃない」
「それ。イイ男過ぎるから隠してんの♪」
「うわぁ!言うねぇ!」
ワチャワチャしだす2人を眺める
────
ふいに
ほどなくしてだだっ広い更地に到着。あるのは重機がちらほらといくらかの資材、朽ちたチンケなバンガロー。それだけ。元々は看板通りにキャンプ場だったのだろうが、開発も改修も進行していなさそうなムード。移動先の現場だなんていうのは完全に嘘。
廃屋のバンガローを調べる。生活感などはあるはずもなく。シャベル、スコップ、土を運ぶ1輪車。再度‘何もないねぇ’と
「誰か来る」
囁いて、窓の端からわずかに顔を出すと更地を注視する
近付く人影。男が数人で、デカめのズタ袋をひとつ背負っている。懐中電灯とランタンがポウッと周囲を照らした。こちらには気付いていない。
男達は談笑しながら更地の中央あたりまで歩き、持っていた袋を地面にドサリと投げる。中身がハミ出た。
上半身だった。
「アンタたち…な、なにしてるんだ…!?」
男共の視線が集まった。少年へと走り寄ろうとする
両脇に1人ずつ従えられたチンピラもどきが‘社長、このジジィ誰ですか’とボヤいた。当たり。後ろからも新たに2人ほど歩いてきている。ステレオタイプのヤンキーといった風体、マフィアまではいかない半グレ。金回りは良さそう。
これは…ストレートに訊いちゃっていいな、今更だ。
「ハジメマシテ。俺らの知り合いが
話を掴めていない
「
「────埋めたの?
言葉を押しだす
「
「貧民街から働きにきたヤツだよ。けっこう熱血漢で…
誤魔化しても裏取ってあっから、と
「埋めた」
気怠げに吐き捨てた。
茫然とする
「伏せて」
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