魔術師と老豆・中
過日残夜3
スマホのライトで控え目に棚を照らす。ファイルは相当数、分厚さもなかなか。適当に選びだしパラパラめくっていく。仕入れ内容のファイル、施工予定表のファイル、金の動きがどうこうのファイル────収支がチョロっと記載されていた。プラマイがおかしい。度を越えた中抜き及び天引き、労働者達への支払いが悪過ぎる。薄給もいいところ。
5冊、10冊とめくるうち、雑に
「あっ!
「お?どれどれ」
小声で叫ぶ
「何でこうなってんのかしら」
「さぁ…?ど、どうしよう
「もうちょっと、この会社に関しての情報が欲しいね」
名簿の写真を撮りつつ
流石に【天堂會】ん時みたくUSBは無いか。ありゃラッキーだった。PC
「なぁにしてんのよ
「うぅ…ごめん…」
涙目でデコを押さえる
「亞牛…建設?」
かなり小さなスタンプ。1枚手に取って読みあげる
室内をいくらか整え、もうひとつ奥のドアを観察。カードキー仕様の電子ロックタイプ。だがこの部屋、さっき裏から見たとき、窓は普通だったはずだ。
やっぱりなんの変哲もない窓。鍵はカチャッとかけるだけの簡素なクレセント、耳みたいな形。こっちもしっかりしとかなきゃあ駄目でしょ…そりゃ、コソ泥を想定してるんじゃないからだろうけど…
「わー!!」
隅の方、丸めて立てかけられていた紙が注意をひいた。
「見取り図だな」
紙を見ながら呟く
いや
地図は建設場の全体図。だが────何かが変だった。
「デカ過ぎない?これ」
「私もそう思う」
どうやら、こことは別の土地がある。
再び窓枠を乗り越え外に出た時、慌てたせいか
同時に、細いライトの光が地面に突っ伏す
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