魔術師と老豆・前
過日残夜2
夜更けの山あい。バイクを転がし目的地を目指す
目立つかと懸念し4輪をやめたが、2輪は2輪で
林道は山深くへ伸びている。道幅は1車線強、明かりはほぼゼロ、ヘッドライトだけがボンヤリ砂利と土煙を照らす。進むにつれて勾配が大きくなり頭上を樹木が覆った。もう九龍からはだいぶ遠ざかってきた、これだと徒歩で家に帰るのは到底難しい。携帯の電波表示も圏外。
かなりの時間、道なき道を辿った先。
ぽっかり穴があいてひらけた土地と、それを囲う様に張り巡らされたフェンスが現れた。高さはそれなり。上方に巻かれた有刺鉄線が随分イカつい、
出入り口とおぼしきドアの周りには誰もおらず、作業場自体もシンとしている。祝祭日は本社の人間達も休みなので監視が薄いという
柵にぶらさがっている錠前へと手をかけた。見た目はガチガチでゴツめ、だが型は古い。
「本っ当に素早いね!
「
賛辞を適当に聞き流し
オッサンを肩車、またしても絵面がツラい。まぁアレか…親孝行みたいなもんかこれは…別に
「もー
「この前抜いたばっかりなんだけどなぁ…
缶コーヒー1本分くらい抜けてビックリしちゃったと
「他の寮も覗く?」
「うーん、見られれば見たいかなぁ。ごめんよ
「お安い御用、てかその為に来たんだしね。チャチャッとやっちゃいましょ」
そうして何軒かチェックしたものの、やはり
部屋の内装は至って普通。デスクにチェア、観葉植物──ん?
「このへんのファイル、
「なんじゃない?【天堂會】もこんなんだったし。アナクロだねぇ」
「【天堂會】
聞き返す
【天堂會】のグッズ可愛かったよねぇ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます