ペンダントとクリスタル・後
身辺雑事7
「
気付いた
「いい加減にしてよ!!アンタ、女の子引っ掛けちゃ貢がせたり売り飛ばしたりしてんでしょ!?
なんとなく状況を把握した
「ねぇ、ケンカしないでよ…私は
「何言ってんのよ
捲し立てる
「
片眉をあげる男、
「駄目、
悲痛な声音で訴える
「やだぁ!!仲良くして、ねぇ、ケンカしないで。私もっと頑張るから…じゃあ、
「そういうことじゃないわよ!!こいつと一緒に居ちゃ駄目だって言ってんの、見なさいよこの状況!!」
「なんで?なんで…怒らないで、
髪をグシャグシャ掻きながら
数秒の沈黙があって───
「やめて!!!!」
淡い色のブラウスが背中側から朱に染まる。
崩れ落ちる
「ったく…使えないな…」
吐き捨てられた
突如として腹のあたりに衝撃を感じた
「
呆気ない。こんなものなのだ。どんな感情があったって、思い出があったって、消え去る時は一瞬。感動的なラストなどメロドラマでなければ用意されていない。
血も涙もないな。思いながら、血と涙に濡れた
襟元から覗く、金色のチェーンに下がった、ペンダントトップ。もう外してしまっているかとも諦めていたが。
───可愛いから2人でしようよ!私、ずっと大切にする!
「…ほんと…馬鹿なんだから…」
呟く
日も差さない路地裏。雑然と散らばるガラクタ。紅く染まった胸元、はだけたブラウスの下で、揃いのネックレスだけが────ただ綺麗に光っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「で、慰めに来てくれたワケね」
幾日かが経ち、いつものピンクカジノ。カウンターに肘をついてクスクスと
「そーそー。
「気にしなくてよかったのに」
よくあることじゃん。
乾いた声で
生返事をしつつ、両隣の席へ
「なに
「この前と同じの」
「え、マジ?クリスタル?」
「何してんだよ」
「え?これでしょ?」
「2本だろ。オメェとダチのぶん」
数秒固まり、それから弾けるように笑う
「ちょ!もうシャンパン頼んでん?俺あんま金あらへんで、
「いーよ、お前は安いのオマケで開けてやれ。
「いやいやいやそれは!なんかそれは!か、かっこつかんやん!」
「じゃ割り勘しよーぜ、スノーマン」
「ぁんだよスノーマンって?」
「お待たせぇ♪ありがとうございまぁす♪」
その
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