ペンダントとクリスタル・前
身辺雑事6
「あの電話帳、
「
「どうだろ…電話も
訊ねる
自宅があるという裏路地まで行き着いた時。薄暗いマンションから人影が出てくるのが見え、
「
呼ばれた少女はビクッと肩を震わせた。ふんわり編み込んだ栗色の長い髪が揺れる。振り返った顔は童顔で幼い印象、だが、目の周りは落ち窪み
戸惑う
「アタシら、周りのこと調べたんだよ。店長…
痩せ細った両肩を掴む。
「なにこの荷物」
大きめのボストンバッグ。しどろもどろに‘着替えとかメイク道具とか’と答える
「私、今日から
「嘘だよそんなの!連れてかれて売り飛ばされるだけだよ!」
‘
「それ、お店やなくて人身売買のグループやねん。そっちに詳しい人から聞いててん、
「私…よくわかんないから…」
喉を震わせる
「んー、その…俺が紹介しよった
「いろんな女に色かけたり薬回したりして、なんつーか、
「でも、でも…私…」
「っ、なんでアンタはそう馬鹿なのよ!」
語気を強める
「そうだよ、馬鹿だから…わかんないの、
体を支えようとする
「ほっといてよ私なんて!!」
「ほっときたいよアタシだって!!」
「ほっとけないんだもん…」
腹が立つ時もある。今回だって、人の忠告を何も耳に入れないで。けれど────落ち込んだ時に朝まで話を聞いてくれたこととか。調子が優れなかった時に作ってくれたご飯とか。嫌な客に当たって愚痴を言い散らかした長電話とか。食べ歩いて半分こした全然美味しくない
そんな些細な小さなことが、しかし、とても大きく心に残っていた。
泣き出しそうな表情なのは
その時、砂を踏む音が聞こえ、路地の奥から男が姿を現した。
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