路傍と外出日和・前
日常茶飯3
「
時計を見ると針は2本とも7のあたり、まだ登校時刻までは
チャンネルを変える手を止めて画面をジッと凝視。ちょっと不思議な感じ、本当に
朝食を済ませて、お茶を淹れ、一息ついたら良い時間。鞄を提げ家を出ると、夜中に空を覆った雨雲はすっかりどこかへ消え去り路地に太陽光が射し込んでいた。広場へ抜ければ頭上にはうっすら虹が架かった晴天。
なんかラッキー、
学校と言っても九龍城砦に義務教育の概念は存在せず、有志や教会がやっている寺子屋がチラホラあるのみ。本格的な教育機関へ通おうとするなら香港まで行くのが必然だ。
でも、‘何を勉強したい?’って訊かれると、難しいな。
自分に出来ること…さしあたり、仲介屋
なんにしろ、みんなの役に立ちたいな。早く
寺子屋に着いたらいつもの席に腰を下ろす。1時間、2時間、お昼を挟んでまた1時間。
授業はけっこう楽しい。知らないことを沢山学べる、眠くなるような話も
甘いものといえば、ここのところ欠席が続くクラスメイト、両親が駄菓子屋さんを始めたから手伝いで忙しいって言ってたな。空いている椅子と机を眺める
学校へ通わず家業を手伝う子供も多く存在し──しかし中流階級以上に限る、それ以下では家族など居ない子供が圧倒的多数──城塞内で主流の仕事といえば食品製造。麺作りや豚肉の塩漬け、叉焼、魚のすり身餃子にイカ団子、エトセトラ。例のクラスメイトの家は製飴業。砂糖を溶かして飴にして、伸ばして切って丸めてコロン。
前に様々なお菓子に使われていたピンク色の万能着色剤に水銀が混ざってたとかで、
同級生に手を振り建物から出ると、既に
「俺、香港ほとんど知らないから超楽しみ!
「住んでたってほどでもないけど。あんまり家から出なかったよ」
「学校とか行ってなかったの?」
「全然。ていうか、学校通ったことあるの
その
確かに
考え込む
「いっぱいある中から
道が
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