家庭事情とお会計・後
和気藹々7
怒ってるとかじゃないよと言いつつ
「裏社会の奴らが狙ってるみたいで。今日
ごめんね詮索しちゃってと詫びる
「はい…私、【紫竹】の
【飛鷹】がサッサと尻尾を巻いた理由だ。
【紫竹】は香港で割と幅をきかせているマフィアグループ、そこの娘とあらば
【飛鷹】はそれを把握しないまま
「お母さんは、愛人から正妻になりたくて私を産んだんですけど…お父さんは全然振り向いてくれなくて」
ポツポツと家族について語り始める
「子供が出来れば気にかけてもらえるってお母さんは考えてて、だけど駄目だったんですよね。お父さんにとっては迷惑だったみたい。だから私、要らない子になっちゃって」
「それでもお母さん、頑張ってたけど…これ以上やっても無駄だって諦めて。私を棄てることにしたんです。アンタは何の役にも立たない、クズだ、産まなきゃよかったって」
自分の都合で産んでおいて?クズは一体誰なのかよく考えたほうがいい───誰も発言はせず表情も変えなかったが、全員の苛立ちを全員が感じ取った。
ともあれ
「どこにも居る場所が無くて。だったら棄てられても一緒かなって…そうしたらお母さんにもちょっとはお金が入るし…。だから九龍にきたんですけど、こんな風に他のマフィアの人達が探しにくるなんて…私、要らない子なのに」
要らない子、と繰り返した
「せっかく皆さんに親切にしてもらったのに…初めて出来た居場所なのに、私…」
言葉が続かず
めずらしく神妙に聞いていた
「俺は、手貸すよ。何かやれること探そう」
ハムハムと蒸しパンを食べてはいるが、声音は裏腹に力強い。生い立ちに自分と似た様なところがあったからだろう。
「つってもよ、どうすんだ?
それはそうだ。いくらもう【紫竹】とは関係ないと主張しても、半グレやチンピラは信じはしない。
ふと思い付いた
「例えばだけど、こういうのとか」
漠然とした考えをまとめつつシナリオを話し始める。耳を傾ける
皆が口々に意見を交わす中、心配性の
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
──1時間後──
「みんな食べ終わったの?」
「あ、
「店出ようと思ったら客来ちゃってさぁ」
「そっか。はい伝票、払って。帰るよ」
「今着いたのに!?しかも俺払うの!?」
「ごちぃ!」
「おおきに」
「ご馳走様」
「ごっそーさん」
「ありがとうございましゅっ!!」
「嘘でしょ────…」
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