忘れ形見とスーブニール
光輝燦然5
「カット!もう一度いきます!」
スタッフの声が路地に反響する。
時刻は正午に差し掛かる頃。長めの休憩を挟んだ後、場所を中流階級区域に移してロケは続行されていた。
トラブルには見舞われたものの幸いなことに負傷者はおらず、メインキャストの
しかし、場の空気は明らかに変わっていた。
場というより
苛立ち、とまではいかないが、ピリピリしている。警戒といったほうが正しいだろうか?
もちろん
……気になる。
気になる、どうしよう、
いや、でももしかしたら今回のバイトに関連しているかも知れない。だとすれば今ここで聞いておくべきなのでは。
そんなん言うて、単純に気になってもうてるから聞きたいだけやないん?もう1人の自分が頭の中でツッコんでくる。
ちゃうて、俺は先のこと考えて──それも言い訳ちゃうん?──そないなことないて──
思い切って口を開いた。
「
唐突に発せられたその言葉に、紫煙をくゆらす
「えっ?顔に出てた?」
「出とります、めっちゃ」
他人からすれば‘めっちゃ’というほどでもなかったが、
「駄目だね…や、
「昔の話だよ。
出会う前といったら10年以上昔のことだ。その頃の話は聞いたことがない、
フッといつもの穏やかな表情で
「……聞く?期待にそえるような話じゃないかも知れないけど」
その言葉に、
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