次戦とエンターテイメント
喧嘩商売3
大男の
その姿は名前の通りまるで猫のようだ。
試合開始からこっち、
捕まえられそうなのに捕まえられない……という、大男からしたら非常に腹立たしい展開。だが着物をはためかせてヒラリヒラリと舞い踊る
九龍一の風俗店城主の肩書は伊達じゃあない、
【宵城】でやるショーも同じだ。観客を惹きつけて楽しませる事に関して、
「
うめく
横で、事の発端のくせにほとんど空気と化している
確かにこの実力差であればもはや
はたから見たら2人共それなりに打撃を当て合って消耗しているように感じられるが、実際はそうではなく、
一方その逆、
すぐ終わらせてしまっては面白くもなんともない。‘見せ場’というのが肝心なのだ。
もはや大男の動きに試合開始当初のキレは無く、正直あとは‘どのタイミングで倒すか’。
なにかもうひとつ盛り上がりが欲しい。
ここだ。
直後に放たれた蹴りをあえて受けて、大男の脚力を利用し
着物を掴もうとする大男の手の平を
その腕を取った
そして男の頭に手を置いて、頭上で逆立ちするように全身を回転させ、振り子のごとく落下させた両膝を男のアゴに叩き込んだ。
鮮やかだった。
フワリと袖を
「そこまで!!勝者、【東風】【宵城】!!!!」
割れんばかりの歓声が辺りを包む。
「どうよ?エンタメってのはこういう事よ」
その
「お見事です。で、2試合ともかなり良かったから俺の試合は適当でもいいって事には」
「ならねぇな」
ならないようだ。
【獣幇】から最後の対戦相手が出てくる。
フードで顔は見えないが、予想に反してかなり小柄だ。
体格的には
え…?これが大将…?
そんな周囲の動揺をよそに、準備運動のかわりか手足をプラプラ振って、人影はおもむろにパーカーを脱ぐ。
眠そうなその表情の持ち主を見て【東風】【宵城】側全員の心の声が重なった。
──────お前かよ!!!!
立っていた少年は、
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