最終戦と「倍あげる」
喧嘩商売4
「えっと…
「お金貰った」
普通に買収されていた。
明快な理由に
「
「うるっさいな」
「
「ん?そりゃ、銃撃戦ならな。武器無しなら話は別だ。今までの喧嘩の感じから見立てると、こういうステゴロだったら…」
言葉を切って、
「多分、
「それでは【獣幇】対【東風】【宵城】、大将戦────始め!!」
開幕と同時に、パァン!と大きな音が鳴る。目にも止まらぬ速さで繰り出された
一歩で間を詰めてきた
ラッシュが続き、ほんの
その間ほんの十数秒。呆気にとられていた観客達が爆発したように歓声をあげる。
「待って、全然見えない」
まさかこうなるとは…完全に計算外だ。まぁ
しかしこの勝負、落とし所が見付からない。こちらも負けるつもりはないし、向こうもそうだろう。解決策が不明である。
もう仕方ねぇ、どうにかして上手くやってくれ
「がーんばーって何よ…」
それを聞きながら
一呼吸置いて
と、
同じタイミングで地面を蹴って跳んだ
既に起き上がっていた
無数の打撃を全てさばくと今度は
額で交差させた腕でガードした
再度距離をとる2人。
「なんなのアレ?やばくね?」
息つく間もない攻防戦に
オーディエンスからは止めどない声援が聞こえている。最初はほとんど【獣幇】側だったであろう観客たちも、今や【東風】【宵城】を讃え始めていた。
「また言ってる…」
…いや、
お金貰ったって言ってたな。【獣幇】に肩入れしているというより、いつもの雇われの喧嘩屋バイトをしているだけ?
【獣幇】の為じゃなく小遣いの為なら、
そう考え付いた
「
「3万香港ドル」
返事をしつつ
「倍あげる」
完全なフリーズ。
無言の時が流れた。
「そこまで!!勝者──────────
【東風】【宵城】!!!!」
静寂。だが勝敗が決まったことを飲み込むと、ギャラリーからは割れんばかりの喝采が沸き起こる。
「なんだそりゃ、
「
ケラケラ笑う
最後のあまりのあっけなさに首を傾げつつ、それでもここまで楽しんだ観客達は皆一様に拍手をしていたが、納得が出来ない様子の【獣幇】の下っ端がわらわらと出てきて怒鳴った。
「おい、お前らグルだったのか!?元からそういう手筈だったんだろ!!!!」
「あぁ?んな訳あるか、こっちも知らねぇで参加してるっつーの。そもそも【獣幇】のメンバーじゃねぇ奴がなんでチームに入ってんだよ?金で雇ってねぇでテメェらだけの力で勝負しろや」
口は悪いがもっともな言い分。互いの威信を賭けての決闘のはずなのに、部外者に頼るなどもっての外である。
「おいレフェリー、2勝で俺達の勝ちだよな?観客にも楽しんでもらえてたみてぇだしなぁ。約束通り【獣幇】のシマ貰うぜ」
周囲からの【東風】【宵城】コールの中、
‘光明街の
光明街の
さては
関係性を知らず特に悪意は無かったにせよ、
「…全部とは言わねぇよ。1・2店舗で手打ちだ、プランもあるから話を聞け。それと【
そんなにおかしなことではない、
それに領地に関してはもとから半グレの縄張りの店舗を少し戴ければ良いと思っていた。無闇に手を広げても面倒事が増えるだけだ。
つまり、譲歩したと見せかけてその
「え?なんや、終わったん?」
目を覚ました
祭りが終わり、静けさを取り戻す九龍。
日が沈んだ街に月が輝きはじめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます