逃亡劇と悪戦苦闘
十悪五逆4
着信音がして、
「ん?
電話に出ると手短に事情を説明され、店を閉めて立てこもるかどこかに逃げるかしてくれと言われる。
展開が急である。
店を放置して荒されても嫌だが、ここに残れば店を守れるのかと聞かれればそうでもない。
高めの背丈と程よい筋肉、黒髪短髪、剃りこんだ眉に三白眼というヤンキー風の見た目に反して、全くもって強くない…なので
どうしたもんかと逡巡したのち逃亡を選ぶ
「
「あっ
「…シャッター閉めて行くから多分平気よ」
俺より月餅を……いや、いいじゃないか。こうして電話もかけてきてくれた。
俺の心配もちゃんとしてくれているんだから。例えそれが、月餅以下だったとしても。
通話を終えて、遠い目をしつつ無理矢理納得した
ゴツゴツした錠前を揺らし開かない事を確認し、さてと路地に目を向けるやいなや、曲がり角から顔を出した男と視線がぶつかった。
無言のまま数秒。男が叫んだ。
「居たぞ!!」
銃声がして、
え、
心の中で悪態をつきつつ、慌てて上がった先の道を反対方向へと走り抜け、突き当りの階段を降りようとして別の男と鉢合わせた。
「おい、居るぞ!!こっちだ!!」
マジかよ。
身を翻して逆側の階段をまた上がる。後ろから追いかけてくる足音。
薄暗く湿った落書きだらけの通路を右に曲がり左に曲がり、所狭しと貼られたピンクなチラシを横目に階段を降りたり登ったり……どうにか
根本的に、
もちろん
仕方ない。
廃材の転がる袋小路のような広場──とまではいえないような大きさだが──で足を止めて、
「なんなのアンタら。俺なんにもしてないけど?」
「ふざけるなよ。仲間が3人殺された、お前の手下がやったんだろ」
いや、そんなことよりこの騒動、もともとはお前らのせいじゃねぇか。
「お前らが市場を引っかき回したからでしょ。自業自得じゃん、逆恨みやめてもらえる?」
その物言いが
瞬間、
その隙を突いて1人蹴り倒す。勢いをつけもう1人殴り倒す。だがダウンとまではいかずすかさず銃で撃ち返され、なんとかトタンを盾にして弾丸を受け止めた。被弾した部分のトタンがメッコリ凹む。
いや危ないな!!これもうちょっと薄かったら
心の中でそう叫んだが、結果セーフだったんだからオールオッケー。攻めるしかない。
そのままトタンごと突進して男たちを通路まで押し返しバランスを崩させ、そこへドラム缶を転がすと見事にストライク。狭い通路で全員がボーリングピンのようになっている。
「へっ、見ろよ!俺だってやれば出来」
ツルッ。ゴン。
言いかけて、
後頭部を強打して頭がぐわんぐわんする。ちょっとしばらく立ち上がれそうになかった。
もー、またやった。
すぐ調子に乗るから、俺の馬鹿。
男達の怒号を聞いて諦めた
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