第21話 惑星の王 太陽①

あれほど暑かった日々は、彼岸を過ぎたあたりから少しだけ落ち着き、秋の気配を感じるような気候となりました。日暮れは日に日に早くなり、まさに秋のつるべ落としです。

あるニュース番組を見ていたのですが、日々の気候のことを取り上げていました。ちょうど彼岸前でしたので、うだるような暑さが続いていました。コメンテーターが、この暑さは何時まで続くのだと、気象予報士に問うていました。気象予報士は彼岸には暑さは和らぐでしょうと答えていましたが、コメンテーターはなぜ、毎度彼岸頃には暑さが和らぐのかと疑問のようでした。気象予報士は宇宙規模の動きがそうさせると伝えていましたが、質問者はどうも納得できていないようでした。

これは気象予報士の方の伝えた通りで、秋の彼岸というのは、宇宙規模で太陽の重要な節目であるためです。秋の彼岸を境目に、季節は冬に向かって動き始めます。昼の時間は短くなり、それにより日照時間も減っていきます。日の照る時間が減ると、温められる時間が減りますから、次第に気温は下がっていきます。

太陽と地球の位置の関係で四季ができるのですから、秋の彼岸を迎え、やがて冬に向かうのであれば、暑さは和らぎ、気候は涼しくなっていくのは当然でしょう。

この太陽と地球の位置関係のことは、私たちがどんなに文明を栄えさせたところで、この地球に住んでいる限り、そのような流れを太陽と地球の位置関係で決めているのですから、誰にも制御できないことなのです。そういった意味でも太陽というのは、地球に住まう私達にとって、大きな流れを作り出す重要な役割を持っている天体だと言えるでしょう。


占星学での太陽は、どのような特性を持っているのでしょうか?

天文学での太陽は、地球との位置関係で、四季を創り出していました。

ホロスコープ上の太陽は、他の惑星たちと同じように並んでいますが、どのような特性を持っているのでしょうか?

少しだけ紐解いてみることにします。


占星学での太陽は7つの惑星のうち、唯一の恒星です。昼間、空に他の天体は見当たりませんが、太陽(たまに月もいますが)だけが輝いています。

全てのものに光を届け、明るさや熱を与えてくれます。恒星ですので、自らの力で光り輝くことができ、明らかに他の惑星達と違う面を持っています。

にも関わらず西洋占星術での太陽は、他の惑星達と同じように、一括りに惑星と呼ばれてしまっています。恒星という名は、スピカやアルタイルなどの天空に散らばり、昼間は見えなくなってしまう星に当てがわれています。

太陽はホロスコープの中で、他の惑星達と同様な扱い方をされていると言われると、そうではありません。太陽だけが持つ特異性は、ホロスコープでも見て取れます。

当たり前ではありますが、太陽はホロスコープの中でも昼と夜を作り出します。アセンダントと7ハウスを結ぶ線が地平だとすると、太陽がある方の半球が昼になります。太陽がアセンダントを通る時に夜明けを示し、7ハウスのカスプ(ディセンダント)を通る時に日没を示します。アセンダントは東、ディセンダントは西です。

また、ホロスコープ上で太陽は近づいてきた惑星を、その光と熱で焼き付けます。これをコンバストと呼びます。このコンバストというのは、占星術では一般的に凶の表示となります。時折近づいてきた惑星と太陽との関係で、コンバストにならない場合がありますが、基本的に惑星は太陽の近くにあると、嫌でもその影響を受けるのだということです。占星術では、惑星は目視できることを重要視しています。太陽にあまりに近づきすぎると、太陽の光で惑星は見えなくなってしまいます。目視できない惑星は、一部を除いて良くない印なのです。

太陽とともにある惑星は、たまに幸運に恵まれることもあります。太陽と同じ場所(両脇で16分以内)に置かれると、カジミと呼ばれる状態になります。これは太陽の座る王座に、一緒に座らせてもらえるうことで、その恩恵を受けるということのようです。この状態の惑星は太陽の力を借りることができ、無敵です。命を落とすような場所にあっても、そこだけは安全だということです。


太陽は昼夜を分けたり、近づいてきた惑星を切り捨てるだけでなく、もっと大きな基準を作り出します。それは先ほども述べた通り、季節です。

太陽がホロスコープ上で牡羊のサインに入ると、季節は春となります。そこは春分点がある場所なので、昼と夜の時間が丁度半分ずつになり、そこから双子のサインを出るまでが春の領域となります。

太陽が蟹のサインに入ると、そこは夏至となります。昼の長さが一番長くなり、夏を迎えます。そこから乙女のサインを出るまでが夏の領域です。

太陽が天秤のサインに入ると、そこは秋分点です。春分点のように昼と夜の長さが等分となり、季節は秋を迎えます。そこから射手のサインを出るまでが秋の領域です。

太陽が山羊のサインに入ると、そこは冬至となります。昼の長さが一番短くなり、冬を迎えます。そこから魚のサインを出るまでが冬の領域となり、また太陽が牡羊のサインに入ると、春が始まるのです。

これらは至点(してん)と呼ばれ、占星術をする上でとても重要な基準となります。

このような働きを持つ惑星は、太陽のほかに見当たりません。地球規模、いえ、宇宙規模の大きな流れを創り出すことのできる、唯一の天体であると言えるでしょう。


私たちがどんなに偉くなったつもりでいたとしても、自分一人の力で生きているように感じていても、この自然の律には誰も逆らえません。

この大きな流れや動きに気付くと、自分の存在がちっぽけなものに感じられます。この大きな流れに守られている、自分が生かされているのだということに、はたと気づきます。

昔の人も、そのことを知っていたのでしょうか。私は知っていたのだと思います。だから太陽のことを神と呼び、大いなる存在として崇めたのだと思います。

現代に生きる私たちは、日々忙しく動き回り、自分の身をどうにかして良く見せようと必死になっています。どんなに文明が栄えたとしても、どんなに着飾って自分を大きく見せていたとしても、太陽と地球の創り出す流れには逆らうことができません。私達にできることは、その大きな流れの中に生かされているということを思い出し、感謝することです。

今一度この節目に、このことに思いを向けていただけると幸いです。




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