第20話 拡散の惑星 木星
木星はとても暖かく湿った気質を持つ惑星です。土星とは対になる星として示されることが多く、土星とよく比較される惑星です。土星は境界の惑星と呼ばれていますが、木星は拡散の星と呼ばれています。また、土星はマレフィック(凶星)と呼ばれる一方、木星はベネフィック(吉星)と呼ばれています。木星は占星術で使用される7つの惑星の中で、一番の吉星です。
木星は主に食物などの流動資産、所有物、財産を示しますが、この概念の中に生き物は含まれません。そして豊かさや繁栄を示します。
豊かさを持つ裕福な人、王様、貴族、名門出身者も木星です。彼らのような人物が住まう宮殿や大きな建物も木星です。また、聖職者や教師、指導者なども木星で示されます。
木星は正義も示します。正義は人によってさまざまで数多くあり、全ての人にとって同じものではないかもしれませんが、全ての人に平等に与えられている法、裁判や裁きを下す裁判官や争いの調停人、裁判官が行う裁判や、彼らが下す正義も木星です。
裁判には忍耐も必要です。私たちは耐え忍ぶことで、得難い教訓を得ることもできます。これらは木星の領域に含まれます。また、トラブルからの解放もここに含まれます。
トラブルと聞くと火星を思い出します。血液は火星だけでなく、木星でも示されるのです。身体の外に出てしまった血液は火星でしたが、木星の血液は体の中を流れる温かな血液を示します。他にも血液の流れる動脈、骨髄、精液も木星です。そのどれもが、体内にある温かな流れです。他にも体の部位ですと、肝臓、胃、左腕、腹部の胸の下あたりからお尻までの間の、生命を維持するための器官がある部位を示します。
生命自体も木星で示されます。命がある、それだけで有難いものです。喜び、良いこと、魂や心理、宗教もここに含まれています。
木星は歳星と呼ばれることもあります。これは、12年かけてホロスコープを一周し、12年かけてまた同じサインに帰ってくるためです。日本でいう干支も12個あります。そして十二支も木星で示されます。昔の人は、12年かけて木星が一周することを知っていたのです。大体一年かけて、一つのサインの中を行ったり来たりします。大雑把ではありますが、基準のようなものを持っているようにも思えます。
私が占星術を始めた十数年前、私が読んだ現代的な占星術の文章には、木星は女性の天体であると示してありました。その後、今の師匠のところで学んだ時、木星は男性であると教えてもらい、密かに衝撃を受けた記憶があります。
木星の性別のルーツを探ると、木星を示す神々が浮かんできます。ギリシャ神話では全知全能のゼウス、ローマではジョブ、メソポタミアではマルドゥクという神と結び付けられています。そのルーツから木星は男性であることはなんとなく想像できますね。木星はモイストな気質を持っています。このモイストという気質は女性的な気質ですので、そこから結び付けられてしまったのかもしれません。
モイストな気質から、水分、すなわち雨を示します。気象占星術では特にその意味合いを持つことになり、雨は天から与えられる慈雨となります。雨は恵みの雨です。これは木星や時々金星として示されます。どちらもベネフィックな惑星です。
また、台風は木星が示すものです。ちょっと意外ですが、木星の持つ温かく湿った気質を思い出してください。台風も夏の温かく湿った気候が創り出します。そのため木星の示す領域のものとなります。
台風が過ぎ去るまでは忍耐力を必要とします。全てが終わったあと、その破壊力に恐れ慄きますが、台風が連れてくるのは水資源という恩恵と肥沃な土地です。日本に住む私たちからみたら、台風は大きすぎる災難として認識していますので、あまりピンとくるものではありません。
しかし占星術の発展したエジプトに置き換えると納得できます。ナイルの氾濫は雨季の雨が原因です。氾濫した川が引いた後は、とても肥沃な土壌が与えられるそうです。氾濫した川は、私達の命を危険にさらします。反面、私たちはそこから得難い教訓を得ることができます。また日本の台風は、時折外国からの侵略から守ってきた側面もあることも、その後に伝えられた歴史が教えてくれます。
とはいえ、台風がもたらすものは危険なものが沢山あります。これから台風が沢山発生する季節になります。どのような所にお住まいでも水の危険は付き纏います。どうぞ災害に備えて下さい。水や食料を備え、安全に逃げられる経路を今一度確認しましょう。きっとその知恵は、私たちやその財産を守り、お金では買えない大きな恩恵を与えてくれることでしょう。
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