第6話 西洋占星術の歴史①占星術の起源
これから私が伝えることは、占星術の師匠から、その授業の中で伝えられたことを、私なりにまとめたものです。
古典西洋占星術の歴史は古く、起源はメソポタミアであると言われています。
当時のメソポタミアの人が、占星術師に占星術は一体いつから存在するのか?と訊ねたところ、49万年前には(もしくは73万年前)にはすでにあったと答えていたそうです。
本当なのだろうかと疑問に思うやり取りですが、占星術はとても歴史のあるものであることは確かなようです。
天文学と占星術は、古代では一緒のものでした。
天体の、特に太陽の観測というのは、暦を作るうえで基準となるとても重要なことです。太陽を観測することで、太陽の四つの節目(春分、夏至、秋分、冬至)を知ることができ、それを基準に農耕を行うことが出来るようになります。
また、月の満ち欠けや惑星の運行を観察すること、恒星や星座の観察できる季節によっても、暦を作るうえで重要な意味を持っていたに違いありません。その当時は、今のように文明が発達していたわけでもなく(いや発達していたのかもしれませんが)、たくさんの情報もありません。天に散らばる小さな星々が、大きな物事を決めるために大きく関わっていたようです。
天体の運行を観察していくと、それらは規則を持っているように見えてきたことでしょう。そしてその規則は、私たち人間には創ることのできないものであり、何らかの目に見えない意思によって定められているようにも感じられます。おそらく当時の人は、その目に見えない意思を、神の言葉として捉えたのでしょう。おそらくこの現象には、大きな意味があるのだと。そして天体の現象によって、地上にいる我々に神は教えてくれているのだと。
これはわたしの考えでしかありませんから、本当に古代の人がこのように考えていたかどうかわかりません。本当のことは当時の人々に聞いてみるしかありませんが、残念ながらそれはできません。ともかく、天体を観測して、占い、神の言葉を聞く、その一連の流れを占星術師が行っていたようです。占星術師は天体の観測者であり、解読者であり、数学者であり、神官でもあったのです。その役割を担っていたのは男性だったのでしょう。現に古代の占星術師として名前が挙がるのは男性ばかりです(もちろん女性もいます)。天体の観測には数学が必須です。男性には資質がありますが、女性は計算が苦手ですね。脳の構造上、致し方のないものです。
古代の人々によって占星術というものは、どのようなものだったのでしょう。
紀元前700年ごろのメソポタミアには、占星術を学ぶための学校がすでに10個も存在していたそうです。学校で教えられるということは、当時占星術はすでに立派な学問であったということです。そして学問になるだけの知識が集められていたということにもなります。
紀元前600年のバビロニア(メソポタミアにあった国家)には、エサルハドン王と占星術師とのやり取りが残っています。猜疑心の強い王は、自分に取り巻く人たちが彼に対して害意を抱いているかどうか、たびたび占星術師に助言を求めています。すでに国の王にはお抱えの占星術師がおり、王は周りの人たちが自分のことをどう思っているかを確認することが出来たのです。まるでホラリーでの占いのようです。しかし、そこに残されている文献から窺えるのは、現代のホロスコープを用いて行うようなものではなく、細かで詳しい星の動きを使わないものでした。用いたのは星の動き、日蝕、月蝕であり、目に見える重要な天体イベントのみを使う方法であり、それらが示すものが吉凶を表すとして占っていたようです。まだ天体の情報などない時代、いきなり太陽や月が欠け始め、時には昼間なのに夜のように暗闇に包まれ、そしてまた何事もなかったように太陽は姿を現す、考えただけで恐ろしい現象だったことでしょう。日蝕や月蝕が、自分たちの住んでいる国に、何らかの物事をもたらすのではないかと考えるのは、とても自然なことだと思います。
紀元前500年ごろに、春分点が発見されます。春分点とは、太陽の通り道、天の赤道と黄道との交点のうち、太陽が赤道を基準に南から北側へと通過する点です。これはとても画期的なことだったでしょう。今までの概念にさらに大きな基準となる春分点が発見されたおかげで、今日まで使用されるサインと呼ばれる重要な概念が生まれる下地が出来上がりました。春分点を起点として、12のサインが割り当てられるようになります。
そしてメソポタミアでの占星術は、さらに高度なものへと変化していくことになるのです。
つづく・・・?
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