エピローグ
エピローグ:大賢者ヲン
連合軍がアルニヤ城に攻め入り、大爆発を起こした。
彼はその戦いを遠くで見ていて年甲斐もなく興奮をしていた。
「何じゃあれは!? いきなり爆発か??」
彼は大賢者ヲン。
ベトラクス王国の山中にひっそりと魔道の研究をしている世捨て人だった。
そんな彼の元へ裏で「魔女」と呼ばれているアザリスタと言う王女から再三再四お呼びがかかっていて、いい加減嫌になっていたものだ。
だがある日、彼の長年の友人である人物からあるものを手渡されその考えが変わった。
それはナマコの干物だった。
知識ではそれは悪魔が住まう海の生物だと分かったが、送られてきたそれは正しくタブーの領域の物だった。
これには流石の大賢者もぎょっと驚いたものだが、彼の友人はそれ以外にも酢に漬けられたタコまで持ち出し、目の前でそれを食べて見せた。
流石に海の生物を食べる事が出来るとは知らなかった彼は一気にそれに興味を持った。
そして自分も食べる事により驚きを示す。
酸っぱいが結構うまい。
なんか酒のつまみにぴったりな気がした。
大賢者ヲンが興味を示したところでその友人はおもむろに親書を取り出す。
そしてその親書にはこれら海の悪魔が実は単なる生物で、それ以外にもいろいろとこの世界の常識とはかけ離れた事が書き示されていた。
勿論すぐには信じられなかったがその親書の中に「異界の知識」と書き示されていた事をこの大賢者ヲンは見逃さなかった。
そして書かれている事をいくつか試してみてそれが事実である事にさらに興味を示す。
「悔しいが、知らぬことを知りたいと言う欲望には勝てぬ。致し方あるまい、今回だけは俗世に手を貸すかのぉ」
そう言って彼はその重い腰を上げたのだった。
* * * * *
「これが『帆船』と言うものか! 何と言う発想じゃ!!」
大海原で彼は船に乗り、その移動速度の速さに驚かされた。
隣国の南方にあるエンバル王国から大海で一気にレベリオ王国とカーム王国を過ぎ去り、キアマート帝国に占領されている元ホジスト王国に着くのに数日と言う速さ、早馬でもこうはいかない。
それに感動しつつ約束である「異界の知識」を知るために彼は弟子がいるキアマート軍の魔物が集中している場所に天から隕石を呼び寄せる大魔法【隕石召喚】メテオストライクの呪文を使うのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
連合軍がアルニヤ城を陥落させた頃、大賢者ヲンはつぶやく。
「アザリスタ。惜しいのぉ、それだけの知識があれば儂の後釜に指名したいのじゃが。しかしあの娘面白い。このわしがこれほど興味を持つとはのぉ。あの娘、もしや英雄になる器やもしれん。この老いぼれがまた夢を見たくなるような人物じゃな……」
そう言って彼は連合軍の方へと歩き出す。
「良いだろうアザリスタ、おぬしの器をもう一度見極めよう。そしてその器が本物であれば儂の夢であった覇王の傍らに立つ宮廷魔術師としての夢もかなえられるやもしれん。くっくっくっくっくっ、年甲斐もなくワクワクしてきおったわい!」
大賢者ヲンはそう言って久々に浮かれた気分でアザリスタに会いに行くのであった。
―― アザリスタ‐婚約破棄された姫様の処世術- ――
完
**************************************
<あとがき>
はいはい、皆様おはようございます、こんにちは、こんばんは。
海外出張が決まっている「さいとう みさき」にございます。
終わったぁ~。
何とか終りに出来ました。
今回「為にならない小説の書き方」と連動するつもりでしたが、やっぱ無理でした(てへぺろっ☆)!
しかもコンテスト期限締め切り間近とは、やっべーでしたね。
物語も正直荒いプロットだったのでカーム王国滅亡させられなかった。
いや、むしろ防波堤になっちゃった。
まあいいか。
物語も書いていてちょっとノリが悪く、今一歩な感じがします。
でも期間中に仕上げると言うのも重要なので何とか。
物語は「俺たちの戦いはこれからだぜ!」風ですが、とりあえずひと段落してさらに途中を書き加えれば十万文字は軽く超えられるようにしてあるので、万が一の時には続きが書けるようにと。
万が一ですよ、万が一(笑)。
ですのでこの物語は一応ここで終わりです。
その後が気になる方が多ければ続きも書きますが、そうするとエピローグの話が現実味を帯びるので軽く百万文字クラスになってしまいそう……
やめましょう、現在書いているやつも書かなきゃなんで。
そんな訳でここまで読んで頂きましてありがとうございます!
楽しんでいただければ幸いです。
またどこか他の物語でお会い出来ますように、それでは!
さいとう みさき
アザリスタ‐婚約破棄された姫様の処世術- さいとう みさき @saitoumisaki
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