第3話 女の子
「こんにちは、美穂ちゃん」
ひまわりの葉がフッと揺れた。すぐ近くで声がした。
びっくりして起きあがるとやせた女の子がいた。
美穂と同じくらいの背丈で、同じくらい棒のようにかぼそい手足をしていた。
「だれ? どうして私を知っているの?」
「ほら、あそこにいるお姉さん。
あの人のこと、きれいだなぁ楽しそうだなぁって見ていたら、あの人が
美穂ちゃんっていう妹のことを心配しているのがわかったの」
背伸びをすると隣の中学校の校庭が見えた。姉が友だちに囲まれて楽しそうに笑っている。美穂のことを心配しているようにはみえないが。
「いいなぁ、美穂ちゃんは。中学生になったら、あんなにきれいなスカートをはいて
お友だちと一緒に遊べるんだね」
「きれいなスカート?」
姉のプリーツスカートが風に揺れている。
その子は台風のときにおばあちゃんが引っ張りだしてきたモンペのようなものをはいていた。くすんだ藍色から白い素足が見える。おばあちゃんの家の外のトイレの草履みたいなものを履いた足で、まるで遊園地のパレードを見ているみたいに、精一杯の背伸びをして、楽しそうに校庭をながめている。
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