第38話 実験と事件

「被験者。熱は下がりませんが、力が現れ。扱えるようになったようです」

「良し色々な、パターンを試せ。これで一気に事件の謎が解明できるだろう」


 だが彼らは、知らなかった。

 光は、自身の欲望を増大させる。

 山崎は力を得て寝込んでいる間に、色々と試していた。


 そのおかげで、なんとなく力を把握する。

 光による浄化と、浸潤。

 浸潤からの精神操作。

 そして、浸食。

 これは、強く出せば、レーザーのように対象を切ることができる。

 

「山崎さん。お熱はどうですか?」

「ああ。いつもすいませんね。看護師さん」

 山崎の目が、怪しく光る。


「いつも通りだ」

 カメラのモニター上では、いつものようにいつもの動画が流れる。

 彼らが眺めているのは、山崎が入院した。夜の映像。

 マジックミラーが壊されたため、部屋を移動した。

 カメラのリアルタイムモニターが切れて、毎晩7時から9時まではそれが再生されて流れている。

 

 無論外部からの、侵入はない。

 彼らがセットしてある。

 画面上では、山崎は寝込み。それを看護師さんがチェックしでていく。

 入退出の時間と、カメラ画像の差異に気がつく人間はいなかった。

 山崎は、満足していた。

 命令による意識抑圧も、浅くから深くまで調節できる。


 自然な付き合いも、相手をロボットのように自我の抑圧も出来る。

 かくいう彼女。看護師さんも、付き合っている彼氏がいるらしく、最後まではいたしていない。

 一度、彼氏のいない。かわいい子を連れてきてとお願いしたことがある。だが、連れてきた相手は、大きく好みから外れて、彼女の考える。かわいいは、信用しないことにした。


 ナチュラルモードで、恋人のように振る舞っているが、部屋を出ればその記憶は消える。

 まあそういうお店だと思えば割り切れる。


 そんなとき、光の使い手、神御が動いた。

 夏祭りだ。奴は、バラバラにアジトを出て行き河川敷から、山の上にある公園まで散らばってしまう。


 それを聞き、特別対策室

 無論、管理室長長瀬は悔しがる。

「ええい散らばるなよ。動員人数がかさむ。食い逃げでも何でも良い捕まえろ」

「捕まえるのは良いですが、どうやって、留置します?」


「そりゃ、誰か力をおさえる物質を知らないか?」

「さあ、海の底に沈めてみます? ひょっとすると力が抜けるかも」

「海水をかけて効果がないか試せ、山崎は病室にいるはずだ」



 そして、病院

「隔離中の山崎に、実験を行う。身分証明と命令書。それと、実験用海水。しょっぱい海の水、軽くしかろ過していない」

「微生物を持ち込まれると困るのですが」

「かといって、何が効き目があるか不明なんだ。下手にろ過するわけにはいかない」

「じゃあまあ良いです。対象の病室以外では開けないでください」


 廊下を、足音二つと、台車を押す音が響く。

 その頃。

 山崎は、ひとときの楽しみをしていた。


 こくこくと、近付く足音。だが気がつかない。

 やがて、ガチャガチャと鍵の音がして山崎はあわてる。

 冷静なら、入って来た人間をコントロールすれば良いだけなのに。

 彼女の股間から手を引き抜き、彼女の口を引き剥がす。

 布団をかぶり、ズボンを直す。


「あっ。鍵が開いているぞ。検診中か?」

 ドアが開く。

 問診のふりをする看護師。


「何かご用ですか?」

 看護師は、入室してきた2人に聞く。

「いや少し実験をしたくてね。少し離れてくれ」

 そう言うと、ポンプで水鉄砲にポンプで水を入れる。


「てー。今」

 バシバシと水がモーターの駆動により撃ちだされる。

 さすがに、山崎も防御をする。


「防御されています」

「山崎。防御するな」

「ひどいですね。松田さん。それにそっちは、中西さんでしたっけ?」

「あーあれだ、海水の中の成分が、効くかもという事になってな」

「それって、漫画の話では」

「何でも良い。試そうとなってな」

「すみません。看護師さん今からパワハラを受けるようですので、ベッドやシーツそれに、着替えをお願いできますか? それに、浴びられるならシャワーの使用許可も」

「ちょっと聞いてまいります」

 そう言って出ていく。


「じゃあいくぞ」

「ちょっと待った。ベッドから降りれば良い」


 ベッドから降りて、少し離れる。

「どうぞ」

 そう言って受け始めるが、電動の水鉄砲地味に痛い。

 ぐしょ濡れにされたが、異常はない。

「効き目なしです」

「分かった。室長には連絡しておく」

「是非うまいものを出してください」

「分かった、言っておく」


 その後、ストレスからか、自らの禁を破り、看護師さんをずぶ濡れにしたそうな。



 そんな頃。

 花火会場では、ちょこちょこした行方不明事件が起きた。

 だが、迷子や他にも行方不明が出て大騒ぎ。

 能力の所為なのかは不明だった。



 明智と、千夏は仲良くなった。

 命令によるけれど。

 ただ、上位の総から、力を貰うか何かをしなければいけない。

 総も気が引け、花蓮の下とした。

 花蓮が、力を分ける。

 レズっても良いが、キスだけで、力が弱いため今は足りる。

 それを、明智に分ける。

 これは存分に、明智が能力を駆使したようだ。


「これはしかし、人数が増えると、とんでもない事になるのでは?」

 やっと、そこに気がつく。

 そして、夜の闇に消えていく。

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