第30話 色んな不安

「あっいや。君すまない。決して、君が不細工なのにとかは、全然思っていない。極めて、没個性に富んだ。ごく普通の感じだから、高校生ならば彼女など居ないだろうと。いや申し訳ない。見た目で人を判断するとは、我々もまだ若いな」

 そう言って皆が笑い始める。


「楽しいですか? 没個性? どうあっても褒め言葉ではなく、おまえはモブのくせに彼女なんかと粋がるんじゃないと、僕には聞こえますが」

「いやそう。そうなんだが。どう言えば良い?」

「すいません。こんな状態ですが?」

『そうですね。その場に居る全員。名前と官職。所属組織を聞いておけと、こちらにたまたま、来られていた警視正が仰っています』

「だそうです。はい」


 その場で、スマホに頭を下げながら、名前や、官職を伝えていく。

 治安維持局なんてあるんだ、初めて知ったよ。


『申し訳ありませんでした。後日この番号へご連絡をいたします』

 そう言って電話は切れ。周りに居た男達は闇へ消えていった。


「はあ。ごまかせたか」


 俺は知らなかった、この時から、スマホのGPSをトレースされていたという事を。



「詳細を聞くと重要事件容疑者Aと、都合の良さそうな路地裏で出会い。無事。さらに言葉まで交わした」

「指向性マイクで追ってはいたのですが、エアコンの室外機等があって、ノイズを消しても会話の詳細は不明です。「扶養家族」とか「疲れている」とか、そんな断片です」

「親族か?まあ参考人だ。しばらく追ってみろ」

「はい」



『隊長。あの小僧。没個性の固まり小僧ですよ。とんでもありません』

『どうした?』

『彼女どころか、3人との関係が確認をされています』

『なに?』

『それで、マイクや望遠で確認したところ。美人2人。かわいい系1人と毎夜のように異性交遊それも、不純な奴をねっとりとしています。逮捕しますか?』


『待て、あいつも高校生だろ』

『ですが、3人なら、婚約などあり得ません。不純確定です』

 そう言いながら、ものすごい鼻息がカムに入ってくる。


『まあ待て、個人的な感情を捨てて、他には?』

『他?一瞬で、色々なところへ移動します。なかなか素早くて、捕まえるのが大変です』

『一瞬で移動? 距離は?』

『ええと、おおよそ50km範囲です。半径で』

 それを聞いて、絶句をする。


『おい。チームアルファ、隊長川崎を降格。副長誰だ?』

『副長、中西です』

『よしおまえが、隊長だ今から指揮を執れ。川崎は、拠点観察から外せ。絶対だ。持っている映像は取り上げろ』

『イエッサー』

『やめろ。あいつは許せん。男の敵だ。うぎゃあ』

 バジバジバジと、スタンガンぽい音が聞こえる。

『川崎は、本部勤務か中継にまわせ。現場には近づけるな』

『はっ』


『その小僧が飛んだ辺りで、行方不明者が出ていないか追跡しろ』

『本部。それは無理です。全域で同様の現象多数』

『そうか。現認を取らないと無理か。何かいい手はないか?』

『おとりにでも、なりましょうか?』

『おとりと言っても、主な対象は犯罪者だろう?相手はどうする』

『隊員か、嫁さんですかね』

『一般人だろ?それはまずい』


『いえ。松浦なら、奥さんは交通機動隊だったはず。向こうの隊長に許可を取り。何とかなるかと思います』

『やるなら総動員だ。マンホールの中までな』

『はい。実行は、また通知いたします』

『よし頑張れ』


 

 その3日後。

 作戦は実行された。

 夜10時。出現率の高い。○○駅近くの公園。


 周りの木や、ビルの屋上に。びっしりと隊員が潜伏をしている。


『アルファから各位。対象は駅からこちらへ移動中。視線切るな』

『こちらブラボー。対象補足』




 そんな頃。

「うわー凄いな。隠れているけど、殺気がビンビンだ。家の周りから、ヤバイ奴が消えたと思ったら。こんな所に集まっていたのか。花蓮とエッチをしているときなんか凄かったものな。花蓮が調子に乗って、障子開けるし。覗いている奴にただで胸を見せるなと言ったら、喜んでやめてくれたが」


 そう。ある程度能力があれば、周辺を探査できる。

 ただし、奏のように特殊なシールドを使えば別だが、一般人には使えない。


 まあ。と、言うことで、おとり作戦は失敗。

 松浦夫婦は、衆人環視の夜の公園で、連れるのを待ちながら、かなりの所まで行為を行い。奥さんが、新しい性癖を開花させた程度で終わった。


 その頃。光の使い手、神御は手下の女の子を使う、リモートを覚えていた。

 女の子に、立ちんぼをさせ、釣れた男を光で食う。

 そんな技を、覚えた。

 それもその技は、女の子の数だけ制御が出来る。


 そのためある日。

 外に出かけ、仲間を増やしていた。

 公園のベンチで、赤い顔をして座っている。ある女の子に目を付ける。

 そう。非番だった松浦隊員の奥さん。

 公園を歩きながら、おもちゃを装着をしていた。


 神御に目を付けられ、キスをされる。

 身分を知り、神御の兵隊として使われるようになる。

 無論友人を紹介をしながら。


 その後、夫婦の仲は、急速に悪くなり離婚をしたとか。

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