第20話 修行?
「彼ら、いなくなりました」
「本当に?」
「ええ」
「しかし、影使いめ。なんで、光の方が弱いんだよ」
「どうしたの?」
「ああいや。昨日のやつだ。光と影で違うが、能力的には同じような感じだった」
「じゃあ。同じ事ができると考え。防ぐ方法も考えれば、防げない?」
「そうだな。いやそんなに簡単には無理だろう。まあ考えては見るが」
少し戻る。
「昨夜はまいったわね」
「彼に受けた忠告通りね」
「彼? 忠告?」
「そう。一美はいやがるでしょうけれど、彼に会ったときに。忠告をされたの。いつも同じ所でうろうろすると、目を付けられるし、やばいよって」
「彼って、もしかして」
「そうよ。彼」
「あの野郎。奏にちょっかいを出すなんて。しばらく会わないうちに節操なしのナンパ野郎にジョブチェンジするとは」
「そんなに焼き餅焼かなくても。一美はかわいいわよ」
「ありがとう。じゃなくて、いつ会ったの?」
「昨日。助けてもらったの。相手が光を使う妙な奴で、助けがなければ、きっと死んでいたわ。それか、あいつの感じだと性奴隷かしら」
「なっ」
「会ったら、お礼言った方が良いわよ」
「ふん。子供の時の貸しは沢山あるから大丈夫よ」
「あらあら。まあ次の場所。いくつか候補を挙げてランダムに動きましょ」
「まあそうね」
そして、総たち。
「ねえ。先輩いえ、総ぃ。私ね。おかしいと思うの」
「ああ。おかしいな」
「なによそれ」
「ここは俺の家で、時間は2時。当然夜中だ。普通良い子は寝ている時間だ」
「そうね」
「高校生は、11時以降。出歩いちゃいけないんだぞ」
「今は出歩いていないよ。ちゃんとお家にいるし」
「ここは俺の家。そして、なぜ膝の上に座っているんだ」
「窓から入ったら、寝ていたから。せっかく覆い被さったのに。起き上がるから。膝の上に座る形になって。うん」
「うんじゃない」
ばさっと、押さえつけられる。
「だってさ、付き合いだしたのは私の方が先なのに、ちゃっかり花蓮が先にしちゃってさ。それも、私が寝込んでいる間に」
「あーまあそれは、色々あってな。じゃあ、色々あるし良いよね。あっやっぱりズボンは面倒」
「何をしているんだ?」
「へっ? 準備。へへっ。さあやるぞー」
「ちょっと待て。あっ」
「ふぅ。よかったよ総」
何でおまえ、泣きながらそんな台詞。
「うん。涙は、ちょっと痛かったのと。繋がりがはっきりしたから。やっぱり花蓮はずるい。それにね、おもしろい事に気がついた。中に影がいて、私の力に手助けをしてくれる。針から影出せるし、影自体を射ち出せるよ」
「へーそうなんだ。そんな効果が」
「と言う事で、元気にするからもう一回」
「ちょっと待て。あっこら」
そうして、朝方。くみは元気に帰って行った。窓から。
俺は、結局5回ほど絞られて、死んだように眠る。
通常とは違い、本当に何かを搾り取られた気がする。
学校。体操部。
「久しぶりだな。体調はもう良いのか」
「はいバッチリです」
くみは2時間の仮眠で元気はつらつだった。
それを、見て花蓮の目が光る。
「やったわね。くみ。今度は私の番」
そして。
「うわっ」
寝ていたはずなのに、いやな予感がして目が覚めた。
水でも飲もうと、したへ降りる。
「総。体調でも悪いの。昨夜はえらく寝返りを打っていたわね」
母さんに言われて、青ざめる。
「ちょっと夏バテかな。ははっ」
奴はきっとまたやってくる。ベッドの強化と、足の下に防振ゴム。
マットレスももう一枚。エアなんとかっていうのを、敷いてみよう。
「母さんちょっと出かけてくるよ」
「何処へ行くの?」
「うーん。ホームセンター」
「そう。卵買ってきて。10個パックの1つ」
「はーい」
そう言って、歩き始め。気がつく。
ホームセンターには卵はない。
いやひょっとすると、有精卵か何かは、ペットコーナにあるかもしれないが、奴の望みはきっとそれではないだろう。ホームセンターと、スーパマーケットは真逆。
この炎天下。きっと出るのが面倒だったのだろう。
でもなんとかって言う、卵料理は、孵化しかかった卵を、茹でるっていうのがあったな。ああそうだ。ベトナムのホビロン。アヒルだったな。
検索するんじゃなかった。写真付きであった。
安いマットレス見つけて抱え、耐震工事の所で、防振ゴムを見つけて買い込み。薬局でゴムや、スーパで卵などを買い。汗だくになって帰ってくる。
影を出せれば、きっと遮れるが、昼のさなか。
頭の上に、影があるやつなど。どう考えても怪しい。
ダイニングの、テーブルの上に卵を置き。
二階に上がる。
「はっ。もしかすると、床や柱も強化がいるのか?」
そんな考えが、頭に浮かぶ。
ベッドの足を持ち上げ、床との隙間に防振ゴムを入れていく。
よく分からないが、マットレスの上にエア何とかもどきを敷いて、その上にシーツをかぶせる。
こんなものかな?
汗をかいたのでシャワーを浴び、部屋に戻ると、花蓮が笑いながら、ベッドに座っていた。
「さすがだね。私のために準備をしていたの? あっそうそう。お母さんは、天ぷら粉を買ってこさせるのを忘れたから、買いに行って来るって。ちょっと短いけれど、1時間くらいで帰ってくるからごゆっくりって」
そう言いながら、花蓮の笑顔が近付いてきた。
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