第13話 初恋との再会

 はめられたり、はめたり。

 そうして僕たちは、大人になった。

 人生色々あるさ。


 一段と、仲良くなった、花蓮に見送られ、家を出る。


 一応不安なので、明智君に連絡を入れる。

「はい。友よ何だね」

「今どこだ?」

「散髪。いや美容院に行った後。自宅にて英気を養い。デートは各在るものという計画を練っているところだ」

「じゃあ。駅には居ないんだな」

「ああ。出ようと思ったが、このままでは駄目だと、天啓を受けてね。自身のレベルアップのために計画を練り、実行をした」

「そうか。それなら良い。じゃあな」


 あー何のために、俺たちは。

 まあ色々あったから。まあ良いか。


 帰るには早いから、○○駅周辺ちょっとぶらつくか。


 再び戻った、駅前。

 夕方になって、人は少なくなり。逆に警官がわさわさしている。

「きみ。高校生か?」

「はい」

 すぐに捕まり、質問される。


「何をしに? 家は何処だ」

 ざっと説明をする。


 ここに来たのは、買い物のためと説明。

「最近は物騒だから、日が暮れないうちに家に帰りなさい」

「すみません。何があったのでしょうか?」

「色々だ。そんなことは気にしなくて良い。君がすることは、変なことに興味を持たず帰ること。いいね」

 そう言うと、警官はツーマンセルで移動していく。


「駄目だな。これは」

 買い物といった手前。また、バーガーを買いに行く。


 両親に連絡し、ご要望の品物を購入。

 おもちゃ付きのセットが、キャラ物だったので、追加購入。

 重要な事だが、このチェーン店。

 物が多くなったときには、必ず。店の中で、レシートと物を確認。

 よく注文品が入っていない。欠品があるからな。


 家に帰ってから、気がついたときの絶望感。

 よし、マスタードのナゲットソースもある。


 抱えた袋から。ほかほかした、熱を感じながら駅へ向かう。


 うん? あれは、一美?

 不破一美は、小学校から片思いの相手。

 彼女が中学受験で、別の学校へ行ったため、疎遠になった幼馴染み。

 相変わらず、凜とした佇まい。


 だが、革製のパンツを穿き。フード付きのパーカー。

 随分イメージが変わったな。


 それに、さっきから。彼女に、声を掛けてくる男や女。

 あれは、どうひいき目に見ても、指示を出しているな。


 どうしたんだ、一美。

 昔は。


 いや、昔からか? 

 あれは。僕が弱かったから。


 いじめられた僕を助け。

 床に転がった僕を、躊躇無く足蹴にする。

 冷たい目で、ぼくを見ながら、言い放つ。


「総は、本当にどうしようもないわね。ちょっとは、やり返しなさいよ」

 そう言いながらも、いつも助けてくれた。優しい一美。


 踏んづけたままだが、僕に強くなれと、熱心に言ってくれた。


 肩までの黒髪をなびかせ、いつもワンピース。

 そんな格好で、僕を踏んでいるから。

 裾から中身を、いつも僕に見せながら、踏んづけていた。

 ぼくの、密かな思い出。


 彼女は、幼少期から空手を習い。

 少しおてんばだったが、勉強もできて。かわいかった。

 美人じゃ無いが、かわいい感じ。

 あれで、切れ長の冷たい目なら、何が何でも告白をしていただろう。


 中学校になって、寂しかったよ。


 そんな事はいい。

 指示された連中は、躊躇無く路地裏へ飛び込んでいく。

 その間に、一美は移動し始めた。


 つい、追いかける。

 駅を離れ。どんどんと、人気の無い公園へと向かう。


 それに伴い。まるで示し合わせたように、人数が増える。

 公園がやはり、目的地の様だ。


 一美の周りに、五人。そして、同心円に五人。配置についている。


 でも。言葉の端々に、10人集と。聞いてはいけない単語が混ざっている。

 何かの、悪の軍団か?


 で、僕も馬鹿じゃ無いから、ブランコに座り。周りを守られている一美からは、距離を取っている。ただ僕の持っている袋から、暴力的なポテトの匂いが周りに漂う。

 ここのポテトは、揚げ油に牛脂が入っているらしく。独特の匂いがする。


 そして、なぜか見知った人間が。仲間だろう。

 かわいい女の子二人に、引きずられてくる。


 あー。デート用に服を買いに来たのか。

 さっき。家にいるって、言っていたのに。


 他にも、おっさんやら、お兄ちゃんやら引きずられてくる。


 一美の。脇にいた男が立ち上がる。すると、手から針が出た。

 あの系統多いのか? くみと同系統だな。


 そいつは躊躇無く。

 おっさんを突き刺す。

 ああこの辺り。あいつらの餌場で、一美がボスだったのか。


 背後に来た奴ら、二人を食らう。

「俺の後ろに。立つんじゃねえ」

 きっと、ポテトの匂いに釣られたな。


 そして。

 本当に仕方なく。

 おばかな友達。明智君を返してもらうために、幼馴染みに声を掛けに行く。

 でも、明智君も同級生だったはずだけどな。気がついていないのか?


「いよお。久しぶり。一美」

 努めて明るく。しぱっと、右手を挙げる。


 その瞬間。

 周りにいた奴らが、一美の周りにつく。


「こんな所へ。ばかね。総」

 忘れられて、なかったようだ。


「悪いけど。そこにいる。明智君を返してくれない?」

「明智?」

 そう言って、怪訝そうに見る。やっと、一美も気がついたようだ。


 明智を捕まえている、女の子に質問する一美。

「こいつは、何をした?」

「はい。軟派野郎です。それも、かなりしつこい奴です」


 ああ。やっぱり、いつものやつか。フォローをしよう。

「こいつ馬鹿なんだ。彼女ができなくて、焦っているらしくてね。ちょっと返してね」

 そう言って、強引に取り返す。

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